2005 Fiscal Year Annual Research Report
極微歪空間を利用した負の熱膨張物質のダイナミクスの研究
Project/Area Number |
17760538
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山村 泰久 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80303337)
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Keywords | 熱膨張 / 熱容量 / フォノン |
Research Abstract |
近年,等方的に熱収縮をする「負の熱膨張」を示すZrW_2O_8関連化合物が注目されている.しかしながら,材料として最も需要の高い,ZrW_2O_8の高温相における「負の熱膨張の発現機構」については未だ研究が進んでいない.この負の熱膨張物質ZrW_2O_8の高温相におけるダイナミクスを明らかにすることが本研究の主たる目的である.3価の陽イオンでZrサイトが置換されたZrW_2O_8固溶体では,本来のZrW_2O_8の相転移温度よりはるかに低い温度域でも高温相の構造を極微空間として保持できる.この特性を用いて,ZrW_2O_8固溶体の低温領域における精密な熱容量測定を行うことで,得られる熱容量から極微構造由来のフォノンスペクトルを求め,そのダイナミクスを検討することを本研究で目指した. 負の熱膨張物質ZrW_2O_8のZrの一部を3価陽イオン(Sc^<3+>,Lu^<3+>)で置換した固溶体を合成し,低温領域のおける熱容量測定を行った.いずれの固溶体でも10K付近に熱容量の増大が見られた.この熱容量の大きさの変化は置換量および置換した陽イオン種に依存することがわかった.単体の熱容量との差を取ることで得られる過剰熱容量の形はSchottky異常と類似し,何らかの低エネルギー励起が存在する可能性が示唆された.得られた熱容量から格子振動の状態密度分布を求め,その解析結果から,この熱容量の増加は3価陽イオン置換でZrW_2O_8に導入されるWO_4四面体の配向無秩序領域に基づくものであることが示唆される.今後,更なる解析を進める.
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