2006 Fiscal Year Annual Research Report
巨大抵抗変化酸化物薄膜を用いた不揮発性メモリーのコンビナトリアルデバイス作製
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17760539
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 勇男 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (20376487)
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Keywords | 抵抗変化型不揮発性メモリー / 遷移金属酸化物 / レーザー分子線エピタキシー / コンビナトリアル |
Research Abstract |
○研究背景 次世代不揮発性メモリーの開発が盛んに行われている。カメラ付き携帯電話やパソコンの携帯用外部メモリーとして便利なUSBメモリーの普及により、フラッシュメモリーの需要が急増している。次世代不揮発性メモリーの候補として、2002年に、金属-酸化物絶縁体-金属(M-I-M)構造を基本素子構造とする抵抗変化型不揮発性メモリー(ReRAM)が登場した。ReRAMで利用している電界印加抵抗変化現象のメカニズムは、未だにはっきりいていないことが問題になっている。 ○研究目的 抵抗変化現象のメカニズムが不明である現在、本研究の最終目的は、メカニズムの解明である。この研究では、金属-酸化物絶縁体-金属(M-I-M)積層型構造の作製を行ない、抵抗変化現象の観測とその特性評価を目的とした。 ○研究成果 本研究で開発した高酸素分圧下(0.1mTorr以上)でも動作可能な反射型高速電子線回折(RHEED)を備えた、レーザー分子線エピタキシー法を用いて、分子層ステップ表面構造をもつLaA10_3(100)基板上に、下部電極用として、電気伝導性酸化物であるLaNiO_3をエピタキシャル成長させた。このエピタキシャルLaNiO_3下部電極層上に、絶縁層であるPr_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3(PCMO)エピタキシャル薄膜を作製し、その上にAlやAg電極を形成することでM-I-M構造を作製した。抵抗変化現象は、Al電極では見られたが、Ag-PCMO-LaNiO_3接合では見られなかった。Ag-PCMO-LaNiO_3接合は、完全にオーミックな振る舞いが観測された。PCMOは電子親和力が約4.8eVのp型の半導体、Al、Agの仕事関数はそれぞれ4.28eV、4.26eVで、両者とも理想的な金属-絶縁体接合が形成されていれば、ショットキー接合が形成されていると考えられる。Al、Ag両電極界面で抵抗変化現象が観測されるはずであるが、抵抗変化現象はAl電極のみで観測された。Al-PCMOとAg-PCMO界面では異なる界面が形成されていることが示唆され、単にショットキー接合界面と界面トラップだけではなく、抵抗変化現象を発現するための他の重要な原因が存在すると考えられる。
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Research Products
(4 results)