2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉛フリー・ピエゾセラミックスのハイブリッド焼結化による複合体ドメイン制御
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17760544
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40335089)
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Keywords | 鉛フリー / セラミックス / 誘電体 / 圧電体 / ラマン散乱分光 |
Research Abstract |
(1-x)(Na_<0.5>K_<0.5>)NbO_3-xLiNbO_3系においてx=0.05-0.07とした場合に、モルフォトロピック相境界(MPB)が存在し、カップリング係数とd_<33>値が極大値を示す。本研究では、ラマン分光法を用いて(Na_<0.5>K_<0.5>)NbO_3へのLiNbO_3の固溶状態やそれに伴う構造変化を調べ、X線回折結果との比較を行った。特に、両者の固溶域やNbO_6八面体においてラマン活性モードであるν_1振動の変化と誘電/圧電物性との関連に関して詳細に調べた。 x=0.2以上の組成では239,272,365,430cm^<-1>(F_<2g>およびF_<1u>)ピークの出現など、擬イルメナイト構造に帰属すると推測される特徴的なスペクトル形状へと変化しており、XRPDでも(Li, Na, K)Nbo_3固溶体とは別に明瞭なLiNbo_3ピークが同定された。一方、x=0.15以下の組成では、50cm^<-1>付近のソフトモードに起因した大きな散乱強度が次第に弱まり、70cm^<-1>付近にはNa^+/K^+、そして196cm^<-1>にはK^+のそれぞれ並進モードに帰属するピークが明瞭になった。 また、全組成に渡って615-635cm^<-1>付近に大きなピークが観察されたが、これはNbO_6八面体の全対称伸縮モードν_1(A_<1g>)であり、特にx=0.03-0.07の組成において急激に高波数シフトしていた。この組成域ではわずかな組成変動によって固溶体の格子体積が大きく変化し、誘電率およびd_<33>値も急上昇することが同時に観測された。したがって、ν_1モードのラマンシフト量で表されるNbO_6八面体中のNbイオン分極が誘電/圧電物性の変化を大きく支配していることが確認された。これらは複合体ドメイン構造を有する材料組成の組み合わせ設計に活かされる重要な知見となる。
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Research Products
(2 results)