2005 Fiscal Year Annual Research Report
電荷不均化状態を基底状態とする酸化物からの新規高出力耐熱性熱電材料の創製
Project/Area Number |
17760547
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 講師 (70288215)
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Keywords | 熱電材料 / 電荷不均化 / ペロブスカイト型酸化物 / ゼーベック係数 / 出力因子 |
Research Abstract |
バリウムとビスマスの複合酸化物の一つであるBaBiO_3においては、BiイオンはBi^<3+>とBi^<5+>が1:1で共存し、さらに規則配列する[Ba(Bi^<3+>_<1/2>Bi^<5+>_<1/2>)O_3]。この特異な電子状態を生かした、新規高出力耐熱性熱電材料の創製を目指している。理想組成のBaBiO_3は絶縁体である。そこで、BiをInで置換したBa(Bi_<1-x>In_x)O_3でp型熱電材料を、Sbで置換したBa(Bi_<1-x>Sb_x)O_3でn型熱電材料の創製を狙い、置換に伴う結晶構造、電気伝導性の変化を調べた。試料は金属酸化物および炭酸塩を用いた固相反応法で合成した。粉末X線回折で相の同定を行い、電気伝導率、ゼーベック係数の測定を空気中、300K〜1000Kの範囲で測定した。 In置換系では、置換量x=0.1で結晶系が単斜晶系から正方晶系へと変化し、置換によって少なくともBi^<3+>とBi^<5+>の規則配列状態が崩壊することが分かった。電気伝導率の温度変化から試料は全て半導体的電気伝導を示し、ゼーベック係数は正であることから目的どおりp型の材料が得られたことが分かった。電気伝導率とゼーベック係数から出力因子を算出したところ、10^<-5>Wm^<-1>K^<-2>のオーダーであった。x=0.04の試料は700℃で極大を示した。 Sb置換系では単一相試料の合成が極めて困難で、現時点では900℃、48h加熱によって焼結することにより最も良質の試料が得られている。x=0.2で結晶系の変化が観測されたが、X線回折ピークの半価幅の広がりが著しく結晶系の特定には到っていない。ゼーベック係数は全て正の値を示し、目的に反しp型の材料が得られたことが分かった。置換量依存性は殆ど見られなかった。試料中でBiイオンと同様SbイオンがSb^<3+>とSb^<5+>の共存という電荷不均化状態にあることが原因の一つとして考えられた。
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