2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁性損失材料と誘電損失材料の複合化による広帯域電磁波吸収材料の開発
Project/Area Number |
17760571
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 真 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (10284085)
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Keywords | 電磁波吸収体 / 磁性損失 / 誘電損失 / 複合材料 |
Research Abstract |
本研究では、磁性損失材料と誘電損失材料の複合化による広帯域電磁波吸収材料の開発を目的に、本年度は一連のフェロックスプラナ型フェライトの固溶組成や基本的電磁気特性とその支配因子といった本質の解明研究を重点的に行った。具体的には、BaO-CoO-Fe_2O_3三元系を用いてフェロックスプラナ型フェライトの平衡状態図を作成し、基礎的物性の組成依存性を解明することを試みた。また、従来とは逆に誘電損失材料中に磁性損失材料が分散する複合材料の作製も試みた。 1.BaO-CoO-Fe_2O_3三元系平衡状態図の作成 通常の固相反応法よりも反応性が高く化学平衡に容易に到達することが期待される錯体重合法を用い,種々の組成の試料を大気中1000℃および1200℃で焼成した。得られた試料に対して、粉末X線回折測定により生成相の同定を行い平衡状態図を作成した。1000℃では六方晶フェライトとしてはM型とY型のみが存在し、Y型は比較的広い単相領域を有していることが明らかとなった。1200℃ではM型、Y型に加えU型、W型、Z型も生成し、Z型以外は固溶域を有していることが明らかとなった。 2.電磁気特性の組成依存性 合成した試料の飽和磁化、保磁力、透磁率等の磁気特性を試料振動型磁力計またはネットワークアナライザにより測定し、組成依存性について検討した。飽和磁化は大きな組成依存性は示さなかったものの、保持力と透磁率は比較的大きな組成依存性を示した。必ずしも定比組成で特性が極大値を示すわけではなかったが、M型定比組成で保持力が最大に、Y型定比組成では保持力が最小、透磁率が最大を示すことが明らかとなった。 3.新規複合材料作製法の検討 誘電損失材料としての炭素を選択し、そのマトリックス中に従来とは逆に磁性損失材料である磁性金属または化合物を分散させた新しい複合材料の作製を、錯体重合法を応用して試みた。
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