2005 Fiscal Year Annual Research Report
電析ニッケル合金の摩擦摩耗特性に及ぼすナノ結晶化の影響
Project/Area Number |
17760573
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 重昭 足利工業大学, 工学部, 講師 (00323931)
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Keywords | ナノ結晶材料 / ニッケル合金 / 電析 / 機械的性質 / 摩耗特性 |
Research Abstract |
非常に硬く、優れた耐食性を示すことからマイクロマシン用構造材料として有望であると考えられる電析ニッケル-タングステン合金に対して、そのすべり摩耗特性に及ぼす材料のナノ結晶化の影響を実験的に明らかにすることを目的とした。電析ニッケル-タングステン合金の作製は、硫酸ニッケルとタングステン酸ナトリウムを主成分とした電析浴を用いて行ない、平均結晶粒径28nmのナノ結晶組織をもつ初期試料が得られた。この初期試料を温度673K、真空中で種々の時間熱処理することによって、28nmから100nmの平均結晶粒径をもつ試験片を作製し、微細組織評価、微小硬さ試験およびすべり摩耗試験を行った。なお、すべり摩耗試験は、自主作製したピンオンディスク形式の試験機を用いて、押し付け力1.3N、乾式、室温、大気中の条件で行なった。得られた主な知見は、以下の通りである。 1.各試験片のX線回折測定の結果、電析ままの初期試験片および熱処理後の試験片ともに、母相のニッケル中にタングステン原子が完全に固溶している固溶体であることが確認された。 2.電析ニッケル-タングステン合金の硬さについては、平均結晶粒径40nmから100nmの範囲ではホール・ペッチの関係にしたがって結晶粒径が小さくなるほど試験片は高い硬さを示したが、結晶粒径が40nm以下になると硬さの増加が次第に飽和してくる傾向が認められた。 3.ニッケル-タングステン合金では、平均結晶粒径が小さくなり硬さが増加するにつれて、すべり摩耗時の摩耗量が減少する傾向が示された。 以上の結果より、電析ニッケル-タングステン合金の耐摩耗性の向上に対して、材料のナノ結晶化が有効である可能性が示された。
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