2006 Fiscal Year Annual Research Report
Niフリーステンレス鋼の高機能化に向けた窒素拡散機構解明とナノ組織制御
Project/Area Number |
17760574
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
黒田 大介 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 講師 (70343879)
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Keywords | 加工熱処理 / 結晶粒微細化 / 金属物性 / 構造・機能材料 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
重量20kgのNiフリーステンレス鋼(Fe-24Cr-2Mo(mass%))の鋳塊を溶製した。鋳塊の押し湯部分ならびに庇を機械加工により除去し、大型熱処理炉、プレス加工機などを使用して1173Kおよび室温にて減面率99.9%以上の加工を施した。なお、窒素吸収処理前のNiフリーステンレス鋼は加工硬化能に乏しいフェライト型ステンレス鋼であるため、高い減面率の冷間加工により高ひずみ導入を行うと試料に割れなどの欠陥が生じる恐れがある。そこで、冷間加工時には1173Kの温度にて焼鈍を適宜行い、高ひずみ導入と軟化処理を繰り返し行った。最終的に減面率99.99%以上の加工を施し、厚さ40μmの試料を作製した。1473Kで1.8ksの窒素吸収処理を施した試料において平均結晶粒径20μm以下のオーステナイト組織が得られた。1473Kで1.8ksの窒素吸収処理を施した試料において950MPa以上および19%以上の最大引張強さおよび破断伸びが得られた。窒素吸収処理により破断伸びは増加する傾向が認められたが、引張強さについては顕著な増加は認められなかった。また、JIS G 0578に準拠した塩化第二鉄腐食試験により耐食性を評価した結果、窒素吸収処理した試料は316L鋼のおよそ30倍の高い耐食性を示した。走査型電子顕微鏡に付属のEDAX機能を使用して窒素吸収処理した試料の元素分析を行ったが、窒素偏析に起因する窒化物などを検出することはできなかった。加工熱処理プロセスにより窒素吸収処理前の試料のミクロ組織については十分に微細化されているが、オーステナイト組織化させるために必要な窒素を吸収させ、かつミクロ組織の粗大化を抑制することは困難であると考えられる。窒素吸収処理と高ひずみ加工を組み合わせた加工熱処理プロセス、ピン止め効果を持つ元素の微量添加などの組織微細化プロセスの検討が必要である。
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Research Products
(1 results)