2007 Fiscal Year Annual Research Report
Niフリーステンレス鋼の高機能化に向けた窒素拡散機構解明とナノ組織制御
Project/Area Number |
17760574
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
黒田 大介 Suzuka National College of Technology, 材料工学科, 講師 (70343879)
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Keywords | 加工熱処理 / 結晶粒微細化 / 金属物性 / 構造・機能材料 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
溶製したFe-24Cr-2Moについて鍛造仕上げ温度1223K以上および室温にて減面率99.5%以上の熱間および冷間加工を施した。得られた厚さ(t)0.5mmの板材に対して1373K以上の温度で3.6ks以上の窒素吸収処理を施し、およそ1.2mass%の窒素を含むNiフリーステンレス鋼を作製した。作製したFe-24Cr-2Mo-1.2Nの窒素吸収処理後の平均結晶粒径はおよそ50μmであり、前年度よりもミクロ組織は大きかった。EPMAによる分析を行った結果、Fe、Cr、Nは均一分布していたがMoについては結晶粒界近傍に偏析する傾向が認められた。窒素吸収処理後の加工熱処理によるさらなる結晶粒微細化を検討するために、40%までの冷間圧延を施したFe-24Cr-2Mo-1.2N板材のミクロ組織と耐食性を評価した。316L鋼および430M鋼についても同様に評価した。Fe-24Cr-2Mo-1.2Nについては、20%以上の圧下率でマルテンサイト相への応力誘起変態が認められ、マルテンサイト量は圧下率の増加にともない0.35%まで増加した。一方、圧下率40%の冷間圧延を施した316L鋼のマルテンサイト量は最大0.19%であり、Niフリーステンレス鋼のおよそ1/2の値であった。塩化第二鉄腐食試験により耐食性の評価を行った結果、圧下率40%の冷間圧延を施したFe-24Cr-2Mo-1.2Nは同様の冷間加工を施した316L鋼のおよそ90倍の耐食性を示した。圧下率40%の冷間圧延を施したFe-24Cr-2Mo-1.2N表面では最大20μmの孔食が観察された。孔食内部では結晶粒界に沿う腐食痕が認められた。したがって、Nは結晶粒界に偏析していると考えられる。Niフリーステンレス鋼については冷間加工による耐食性の低下が微小であるため、加工ひずみを利用した高機能化も有効であると考えられる。
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Research Products
(4 results)