2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造を有する非平衡酸化鉄による環境汚染ガス分解
Project/Area Number |
17760579
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山末 英嗣 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (90324673)
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Keywords | 二酸化炭素 / 酸化鉄 / メカニカルミリング |
Research Abstract |
昨年度はメカニカルミリングしたマグネタイトを用いて二酸化炭素を炭素に分解させることを目的として研究を進め,ミリング時間が72時間より長い領域では,二酸化炭素分解実験後に試料に含まれる炭素濃度は,ミリング時間が長い試料ほど高く,これは72時間以上のミリングでマグネタイトがウスタイトに相変化したことが大きな原因であること明らかにした。これを踏まえ,本年度はメカニカルミリングしたウスタイト(FeO)を用いて,不活性雰囲気下でミリングした試料を0.05MPa-CO2と共に反応装置へ封入し,773Kの反応温度で3h保持するCO2分解実験を行った.二酸化炭素分解実験を行った。その結果,FexOを用いた773KでのCO2分解実験では,5min以上ミリングした試料はCO2を炭素原子まで分解することが明らかになった.この際,CO2分解量はミリング時間60minまでは単調に増加し,それ以降は増加しなかった.試料の比表面積はミリング60minまでで顕著に増加しており,これはCO2分解反応を促進させる要因と考えられる.また,FexOが安定に存在しうる共析分解温度(843K)以上でのCO2分解活性は773Kでのそれより小さかった.したがってこの実験では,FexO試料の共析分解で生成するFeがCO2分解を担っていると考えられる.この場合,ミリングによってCO2分解活性が向上した理由はFexO試料の微細化による反応面積の増大で共析分解反応が促進されたためであると説明できる.また,CO2分解後に炭素は単体(グラファイト)の形態で固定されており,ミリングしたFexOを炭素固定サイクルに適用できる可能性が示された.
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