2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造を有する非平衡酸化鉄による環境汚染ガス分解
Project/Area Number |
17760579
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山末 英嗣 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (90324673)
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Keywords | 二酸化炭素 / FeO / スラグ / メカニカルミリング / 活性化 |
Research Abstract |
初年度,2年次ではメカニカルミリングを施したウスタイト(FeO)およびマグネタイト(Fe304)を用い,500℃でCO2固定を行う研究を進めた。その結果,FexOを用いた773KでのCO2分解実験では,5min以上ミリングした試料はCO2を炭素原子まで分解することが明らかになった。また,Fe304を用いた実験では,ミリング時間が72時間より長い領域では,二酸化炭素分解実験後に試料に含まれる炭素濃度は,ミリング時間が長い試料ほど高く,これは72時間以上のミリングでマグネタイトがウスタイトに相変化したことが大きな原因であること明らかにした。 最終年度ではその成果を受け,スラグに含まれるFeO成分に注目した。スラグを用いたCO2固定に関して,スラグ中の主成分であるCaOを利用する報告はいくつか存在するが,スラグ中のFeOに注目し,その有効利用について検討を加えた研究はほとんどなされていない。実験試料として,代表的な水砕製鋼スラグを用いた。実験の結果,CO2固定量はミリング時間3hまでは増加し,3h以上のミリング時間で停滞・減少傾向が確認された。CO2固定能が向上した原因としては比表面積の増大が大きな寄与をしていると考えられるが,それだけで全ての傾向を説明できないことが分かった。そこで,XRD, EDXを用いて試料の表面組成がどのように変化するかを調べたところ,ミリング時間が経過するにつれ,見かけ上のFeO濃度が増加していることが分かった。この原因として,ミリングに伴い製鋼スラグ内部に含まれるFeOが表面に露出したことが考えられる。すなわち,ミリングに従いCO2固定能が向上したのは,ミリングによる活性化およびFeOの表面露出化の相乗効果によるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)