2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760580
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 将克 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 助手 (00263327)
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Keywords | 単結晶炭化珪素 / オーム性電極 / 界面反応組織 / 反応制御 / 化学ポテンシャル図 |
Research Abstract |
炭化珪素(SiC)上にオーミック電極を形成するには,通常,金属膜を蒸着した後,高温で熱処理する必要がある.この熱処理プロセスによりSiCと金属膜の界面で反応を生じることでSiCと金属膜のコンタクト抵抗が低下する.しかし,コンタクト抵抗低減に寄与する界面組織因子およびその形成を担う反応素過程が十分に解明されていないため,コンタクト抵抗をミニマイズする電極形成技術が確立できていない.本研究では,SiCと種々の電極用金属材料との間の界面反応を制御し,優れたオーミック特性を発現する電極形成技術を開発することを目的として推進している.本年度はSiCと電極用材料として近年活発に研究されているTi-Al積層膜の界面反応組織を解析するとともに化学ポテンシャル図を作成し,これらに基づいて界面反応機構を検討した. SiCとγTi-Alの界面反応では,複数の混相化合物層から成る複雑な界面組織が形成されることが明らかとなった.その層構造は,SiC/TiC/(TiC+Ti_2AlC)/(Ti_5Si_3C_x+Ti_2AlC)/TiAl_2/γTiAlと記述される.γTiAlの初期厚さが100μm以下の場合では,この界面層構造は系γTiAlが残存している間は維持され,その間はいずれの生成層も放物線則に従った成長挙動を示す.しかし,γTiAlが界面反応により消尽すると,生成層どうしによる新たな界面反応でTi_3SiC_2を生じ,最終的にはSiC/Ti_3SiC_2なる界面組織となって平衡する.この反応により,AlはSiを含んだ融液となって系外に排出される.この現象は,半無限拡散対の一方のエンドメンバーがシフトすることに伴う反応として,化学ポテンシャル図を用いて的確に説明できる. SiC上に電極形成のために蒸着する金属膜は通常1μm以下と非常に薄いため,わずかな熱処理時間でTiAl膜が界面反応により消尽し,SiC/Ti_3SiC_2/Al-Si(liq.)で表される界面組織を形成することが明らかとなった.
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