2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760583
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
千星 聡 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00364026)
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Keywords | Nb合金 / 陽極酸化 / 固体電解コンデンサー / 表面分析 / 透過型電子顕微鏡 / Ti / Zr / 誘電体材料 |
Research Abstract |
固体電解コンデンサーはNb基板に誘電体層として陽極酸化皮膜を形成させた構成であり、そのNb基板を適切に合金化することにより誘電特性の優れた新規固体電解コンデンサーが実現すると考える。本研究では優れた性能をもつNb合金型固体電解コンデンサーの開発を目的とし、NbにTiを系統的に添加した合金を基板とした試験体を作製し、静電容量(CV値),漏れ電流の測定、および陽極酸化皮膜の構造を評価した。 Nb-Ti合金(Ti量:0〜15at.%)をアーク溶解法により作製し、真空雰囲気で1673K、6hの均質化熱処理を施した後、10×10×1mm^3の合金片を切り出した。合金表面を研磨後、電界浴(リン酸0.6体積.%水溶液)中に浸含させ、温度60℃、化成電圧16Vで陽極酸化処理を施し試験体とし、誘電特性を測定した。また、FE-SEM,TEM,XPSおよび分光エリプソメトリーを用いて陽極酸化皮膜の構造解析を行った。 Nb- 1〜15at.%Ti試験体と参照用のNbのみの試験体では、CV値において、基板組成がNb-1〜10at.%Tiの範囲でNbのみの試験体よりも10%程度の増大が見られる。一方、陽極酸化皮膜の比誘電率、および陽極酸化皮膜の厚さはTi含有量とともに増加した。また、基板Nb-Ti合金上の陽極酸化皮膜にはNb_2O_5に加えてTiO_2が存在することが確認できた。比誘電率は、Nbの酸化物であるNb_2O_5の比誘電率が約40であるのに対し、TiO_2の比誘電率は約100であるとの報告がある。よって、Ti含有量の増加にともなうNb-Ti合金上における陽極酸化皮膜の比誘電率の増加は、TiO_2が形成されたことに起因すると考える。漏れ電流に関しては、NbにTiを約5〜15at.%添加した試験体で、純Nb試験体と比べ最大約30%減少した。また、Tiを添加した試験体では純Nb試験体と比べ、陽極酸化皮膜表面の凹凸が減り、平滑になる。加えて、陽極酸化皮膜の厚さの増加により、陽極酸化皮膜の緻密性が増したことも、漏れ電流減少の要因であると考える。以上の結果から、Nb-Ti合金系では、Nb- 1〜7at.%Tiの範囲でCV値、漏れ電流の両方の特性が改善される陽極酸化皮膜が得られることが示される。
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Research Products
(3 results)