2005 Fiscal Year Annual Research Report
機械的に対流を防いだ液体金属の熱伝導度精密測定法の開発
Project/Area Number |
17760592
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (80302967)
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Keywords | 液体金属 / 熱伝導度 / 非定常熱線法 |
Research Abstract |
液体金属の熱伝導度を精度良く測定するには、対流による熱伝達を如何に抑えるかが重要となる。対流には、温度差による比重差によって発生する熱対流と、温度差による表面張力差によって発生するマランゴニー対流がある。本研究では、非定常熱線法を用いて機械的に対流を防いだ信頼性の高い熱伝導度測定法を開発するために、液体表面をアルミナ板で覆い自由表面を無くすことによりマランゴニー対流を防止し、また試料中にアルミナ薄板を熱線と垂直に並べることにより熱対流の抑制を試みた。液体スズの熱伝導度を700〜1200Kの温度範囲で測定した結果、加熱細線の通電加熱開始から対流発生までの時間を、マランゴニー対流防止板を用いた場合、用いなかった場合より1秒程度遅らすことができた。しかし、熱対流防止板を用いると逆に対流が発生しやすくなることが分かった。また、本研究では、加熱細線から試料への漏れ電流を防ぐために加熱細線に電気泳動法により70μm程度のアルミナ絶縁皮膜を被覆しているが、過去に絶縁皮膜により熱伝導度が実際より低く測定されるとの報告がある。そこで、実験前後で走査型電子顕微鏡により皮膜厚さを測定し、求めた膜厚から計算により絶縁皮膜の影響を考慮する方法を開発中である。さらに、熱伝導度の報告値が大きくばらついている液体ゲルマニウムの熱伝導度測定を行っている。測定中にモリブデン加熱細線が切れてしまい、現在までに測定が成功していないが、今後加熱細線としてモリブデン線から白金線に変えることを検討中である。
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