2005 Fiscal Year Annual Research Report
CdTe化合物半導体のフォトアシスト電析の機構解明とパターンニング技術への展開
Project/Area Number |
17760593
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30283633)
|
Keywords | テルル化カドミウム / 硫化カドミウム / 化合物半導体 / 太陽電池 / 電析法 / 化学浴析出法 / 透明導電性基板 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
研究代表者は太陽電池材料として期待されているCdTe半導体の低コスト成膜技術としてカソード電析法を研究してきた。ここでは、Te(IV)イオン種の溶解度が低い硫酸酸性浴にかわる電析浴としてアンモニアを含有する塩基性浴を開発し、電析時にカソード表面に可視光を照射することで電析速度が向上するフォトアシスト電析によってCdTe層を製膜している。本年度は、塩化物イオンの存在下でフォトアシスト電析が抑制される現象を詳細に調べ、フォトアシスト機構の考察を行った。 従来から用いている硫酸イオンが対アニオンの浴(硫酸浴)、硫酸イオンを塩化物イオンに置き換えた浴(塩化物浴)、およびこれらの混合浴を用いて電析挙動を比較したところ、電解浴中の塩化物イオン濃度に依存して、フォトアシスト効果が抑制されることがわかった。硫酸浴を用いた電析中に塩化物浴を少量加えたところ、加えた直後に電流密度が減少した。一方、塩化物浴で一定電気量の電解を行って得られたCdTe膜を硫酸浴に移し、光照射下において続けて電析を行ったところ、硫酸浴での電析開始直後からフォトアシスト効果が観測された。これらの結果から、フォトアシスト効果は電析CdTe膜の特性に因るものではなく、電解浴/電極界面の表面反応に起因することが明らかとなった。ホール効果の測定から、硫酸浴および混合浴から得られたCdTe薄膜はp型伝導を、塩化物浴から得られたCdTeはn型伝導を示すことが明らかとなった。これは、膜中に取り込まれた塩化物イオンが、テルル位置を置換しドナーレベルを形成したためと考えられる。なお、電解浴中の塩化物イオン濃度が高くなるとともに、得られるCdTe中のCd含有量は増加し、その結晶性もわずかに増大する傾向を示した。
|