2006 Fiscal Year Annual Research Report
膜の分離機能と白色腐朽菌の代謝活動を利用したハイブリッド型水再生プロセスの開発
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17760599
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 誠之 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (00345919)
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Keywords | 分離膜 / 微生物 / 白色腐朽菌 / 水再生 / 代謝反応 / 分解酵素 / バイオリアクター / 脱色 |
Research Abstract |
本研究では、膜・微生物ハイブリッド型水再生プロセスの開発を行うことを目的とする。廃水中に存在する難分解性有機物の着色原因物質や内分泌撹乱物質等を分解することが可能な白色腐朽菌の二次代謝系の解明を行い、分解酵素や機能発現のために最も適した条件を把握する。また、膜分離と活性汚泥を利用したシステムにより白色腐朽菌の機能を最大限に活かすことができる環境の創製法を確立し、白色腐朽菌処理とのハイブリッド化を行う。本年度は、デュアルメンブレン・バイオリアクターの構築を試みた。 昨年度選定した白色腐朽菌Phanerochaete sordida YK-624株は、染料、メラノイジンなどを含有する様々な着色廃水の脱色が可能であり、また、内分泌撹乱物質など有害物質に対しても分解活性を示し、廃水の再生処理に有用な微生物であることがわかった。この菌株による環境汚染物質の分解には酸化系酵素のマンガンペルオキシダーゼなどが関与しており、この酵素は、菌が一時成長した後に発現する二次代謝反応で産生され、主要栄養素の欠乏状態によって誘導されることがわかった。また、廃水中に他の微生物が存在する場合には、P.sordida YK-624株による分解活性は阻害された。そこで、活性汚泥処理と白色腐朽菌処理とを分離膜で双方向に結び付けるデュアルメンブレン・バイオリアクターを考案し、装置を作製した。本システムでは、前段の活性汚泥により、白色腐朽菌の機能を低下させる窒素化合物や易分解性有機物を除去し、分離膜により來雑微生物を完全にシャットアウトして白色腐朽菌が支配的となる環境を創出する。また、白色腐朽菌による処理水を再度分離膜に通して、その一部を活性汚泥処理槽へ返送することにより、白色腐朽菌が産生する分解酵素を循環させ、活性汚泥処理槽においても分解酵素と活性汚泥により色素物質など様々な有機物の分解を行い、最終的な水質の向上を図る。着色廃水の脱色試験では、白色腐朽菌の脱色活性に及ぼす膜処理の影響が大きいことが確認でき、実廃水についても脱色効果が認められた。
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Research Products
(2 results)