2005 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界急速膨張法を利用した医薬用有機ナノ微粒子創製技術の開発
Project/Area Number |
17760603
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内田 博久 信州大学, 工学部, 助教授 (70313294)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 超臨界急速膨張法 / ナノ粒子 / 医薬品 / イブプロフェン / 微粒化 / 結晶化現象 / 粒子評価 |
Research Abstract |
超臨界急速膨張法による微粒子創製は,主として溶解部と粒子生成部の間の過飽和度,粒子生成部の相状態,および膨張時の流体力学的効果(剪断力など)に影響を受けることを我々は明らかにしている.本年度は,超臨界急速膨張法による有機ナノ微粒子創製に対する溶解部と粒子生成部の間の過飽和度の影響について検討した.溶媒としては超臨界二酸化炭素を用い,溶質としては医薬品化合物のモデル物質であるRS-(±)-イブプロフェンを用いた.得られたナノ粒子の評価は,粒径・形態については走査型電子顕微鏡(SEM)で検討し,結晶性(結晶構造,結晶化度)は示差走査熱量分析装置(DSC)及び粉末X線回折計(XRD)により行った.実験は,溶解温度323.2K,溶解圧力20.0MPa,膨張前温度325.2Kで行い,ノズル温度及び粒子捕集部温度を変化させることにより過飽和度を変化させた.その結果,捕集部温度を一定(273.2K)としてノズル温度を323.2〜353.2Kで変化させた場合は,得られた粒子の粒径や粒径分布は大きな変化を示さなかった.このときの平均粒径及びCV値は,それぞれ約150nm,約30%であった.一方,ノズル温度を一定(323.2K)として捕集部温度を263.2〜303.2Kで変化させた場合は,得られた粒子の粒径および粒径分布幅は捕集部温度の上昇,つまり過飽和度の低下に伴い大きくなった.このとき,平均粒径は129〜169nmであり,CV値は32〜69%であった.また,得られた粒子をDSCで分析したところ,ノズル温度及び捕集部温度に関係なく融点が微粒化前の状態より2〜5K程度減少していることがわかった.またXRD分析により得られた粒子の結晶構造を検討したところ,結晶構造に大きな変化は無いが,結晶化度がわずかに減少していることがわかった.
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