2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドタグを利用した総括的タンパク質リフォールディングプロセスの構築
Project/Area Number |
17760626
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 努 岡山大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (30304752)
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Keywords | タンパク質 / リフォールディング / ヒスチジンタグ / 金コロイド / 高分子分散剤 / ポリアスパラギン酸 / ナノスフェア / Ni配位子 |
Research Abstract |
本研究では,総括的なタンパク質リフォールディング効率の向上を目指して,ペプチドタグを導入したタンパク質の生産とナノスフェアを利用した選択的凝集による高効率リフォールディング手法の構築を目指して行った。まず,N末端およびC末端の両方にNiとの錯形成が可能な6つのヒスチジン残基が並んだペプチド配列(以下,His-tag)を遺伝子的に導入したタンパク質発現ベクターを調製した。特に,両端へHis-tagを導入した緑色蛍光タンパク質(2x His-tag GFP)を調製して,ペプチドタグの影響を受けることなく大腸菌を利用して安定にタンパク質を生産できることを確かめた。 また,凝集挙動を色によって識別できる可能性を有するため,ナノスフェアとして金コロイドを選定し,Ni配位子を導入しても安定な金コロイド調製手法を確立するために,高分子で分散安定した金コロイドの調製を試みた。生分解性も期待できるポリアスパラギン酸を主鎖として側鎖に金コロイドの安定な分散に寄与する官能基とHis-tag認識部位を導入することで2x His-tagタンパク質の高効率リフォールディングに有用なナノスフェアの調製を行った。数十nmの単分散な金コロイドを調製できるポリアスパラギン酸系高分子の設計が可能になったが,十分量のHis-tag認識部位をナノスフェア表面に導入するには至っておらず,更なる高分子の精密設計が必要であることがわかった。 これらの知見から,His-tag認識部位をナノスフェア表面に効率的に呈示するための改善を施すことによって,変性溶液中からの2x His-tag GFPの選択的凝集とリフォールディングが可能になるものと期待される。本研究成果を基にして更なるナノスフェア表面を精密設計することで,コロイド化学をタンパク質工学に融合させた新しいリフォールディングツールの構築が期待できる。
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