2005 Fiscal Year Annual Research Report
独自の三次元培養法を利用したES細胞チップの開発と肝細胞分化誘導の研究
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17760628
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 助教授 (00304733)
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Keywords | ES細胞 / 初代肝細胞 / HepG2細胞 / 細胞チップ / スフェロイド / マイクロコンタクトプリンティング / 細胞外マトリクス / ポリエチレングリコール |
Research Abstract |
本研究は、ES細胞の効率的な分化誘導条件を評価するための新しい手法として、一つのチップ上で多条件パラレル処理を実現できるES細胞チップを開発することを目的とする。本年度は、チップの基本設計を行い、試作したチップを用いて細胞の挙動を評価した。 (1)細胞チップの設計と作製 細胞接着面と非接着面がパターン化されたチップ基板を設計した。具体的には、ガラス基板にマイクロコンタクトプリンティング法を利用して、細胞接着面となる細胞外マトリクスをスポットリングし、それ以外の部分は細胞非接着面となるポリエチレングリコールをコートしたチップ基板の作製法を確立した。ここで、細胞外マトリクスは、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン等の異なるマトリクスをパターニングし、細胞外マトリクスが細胞に与える効果を評価できる基板とした。また、細胞外マトリクスのスポット径やスポット間ピッチの異なる基板も作製し、基板形状が細胞に与える効果を評価できる基板とした。 (2)試作細胞チップによる細胞挙動の評価 ES細胞実験系の予備実験として、初代ラット肝細胞およびHepG2株化細胞を用いて、試作細胞チップの有効性を評価した。その結果、細胞外マトリクスの違いによって、細胞が二次元的な伸展形態を示す場合や、細胞同士が凝集して三次元的な球状組織体(スフェロイド)形態を示すことを見出した。また、細胞外マトリクスのスポット径やスポット間ピッチの配置により、スフェロイド形態を制御できることを見出した。これらの結果から、本チップを用いることにより、細胞外マトリクスの性質や細胞形態の違いによる細胞の分化誘導や機能発現を評価できることが示されたことから、現在、マウスES細胞のパターニングと分化誘導の評価実験に取り掛かっている。
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