2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760639
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金 正浩 九州工業大学, 工学部, 産学官連携研究員 (30380736)
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Keywords | 宇宙インフラ / 人工衛星 / 航空宇宙工学 / 電力工学 |
Research Abstract |
本研究では、宇宙空間に露出された宇宙用電力ケーブルの絶縁性能が、宇宙環境下での材料劣化の進行と同時にどの程度進むのかについて基礎研究を行う。熱サイクル・紫外線・微粒子衝突・原子状酸素といった環境劣化因子に晒された電力ケーブルを用い、宇宙プラズマ環境を模擬した真空チャンバー内で隣接するケーブル間の絶縁耐圧及びケーブル・宇宙機表面導電性部材(CFRP等)間の絶縁耐圧を測定する。その際、繰り返しの微小放電によるアークトラッキングの形成と進行が絶縁耐圧(持続放電の発生電圧)低下にどう影響を及ぼすかを評価する。 今年度は、宇宙環境要因によるケーブルの劣化によって引き起こされる絶縁耐圧の低下を未劣化、および熱劣化ケーブルに対して評価した。熱劣化条件は260℃で72時間、真空加熱した。真空度は15 torrであり、この加熱条件はみどり2号の環境で軌道上7ヶ月相当である。本研究では(1)隣接するケーブル間の絶縁耐圧、および(2)繰り返しの微小放電によるアークトラッキング(炭化導電路)の形成と進行が絶縁耐圧(持続放電の発生電圧)低下に与える影響、について評価した。使用した電力ケーブルは通常、人工衛星に使用しているものと同一のスペック55電線を使用し、ひび割れを模擬した傷を人工的に施し、試験を行った。 ひび割れたケーブル同士が密着していない場合と密着している場合とで、ケーブル被覆材の熱劣化の影響を明らかにした。その結果、ひび割れたケーブル同士が密着していない場合では、ケーブルの熱劣化は持続放電を抑制し、逆にひび割れたケーブル同士が密着している場合では、ケーブルの熱劣化は持続放電を助長する傾向があることが分かった。どちらが実際の宇宙環境におけるケーブルの状態をよりよく模擬するのか、検討する必要がある。
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