2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760647
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 浩二 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (60274487)
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Keywords | 疲労 / き裂成長シミュレーション / 疲労き裂発生 / XFEM |
Research Abstract |
種々の構造物や輸送機器等で近年疲労損傷が多発している。また,新規の社会基盤整備事業に対する財政的制約は年々厳しくなっているため,既設構造物の定量的寿命評価は社会基盤の安全確保の観点から必要不可欠である。疲労強度評価の現状は,(a)S-N曲線と作用応力頻度分布をデータとして累積損傷被害則を適用する方法,(b)破壊力学に基づくき裂成長予測,に大別されるが,(a)では経験的に得られた安全率の適用が必要であり,(b)では疲労き裂特有の物理現象であるき裂開閉口挙動の考慮が必要不可欠であるにも関わらず取り扱いの難解さからこれを定量的に考慮している研究は少数であるため,本研究ではXFEM(Extended Finite Element Method)を用いたき裂成長シミュレーションの構築を目指し,以下の検討を実施した。 1.XFEMに関する文献調査を行い,き裂開閉口挙動の定量的評価に必要な弾塑性問題への適用状況について確認した。その結果,数値解析上の問題もありXFEMによる定量的な弾塑性解析の実現は未だ容易ではなく,メッシュタイプとして,モデリングが容易な四角形要素ではなく三角形ひずみ一定要素を用いる必要性が確認された。 しかしながら,実用化を念頭に置くと,解析モデル構築が比較的容易な四角形要素での開発を指向すべきであるとの結論に至った。 2.弾性問題用XFEMの開発開発の第一段階として,弾性問題用のXFEMコードの開発を行った。 当初はMatlabベースでの開発を想定していたが,その後,数値計算の専門家へのヒアリングを実施した結果として,Matlabベースでは弾塑性問題への適用が困難と判断し,Fortranへの変換を行った。 3.高精度疲労き裂成長シミュレーションにあたっては,健全部(無欠陥部)からのき裂発生寿命を定量的に評価することが必要であるため,SEM内疲労試験機を用いて疲労き裂発生段階の観察を行った。その結果,疲労き裂はすべり(せん断)のプロセスが拡大していく過程として生じていること,第一結晶粒界までのき裂成長段階では,き裂開閉口は観察されないことを確認した。 また,疲労き裂が開口型に遷移した以降の1サイクル中のどの時期でき裂進展が起こっているかについても観察を試みたが,疲労試験機動作時のSEM観察限界(画像測定倍率の限界)及び試験片サイズの影響で,これを定量的に観察することは困難であった。
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