2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷低減を目指した電気推進システムの最適運航制御技術の開発
Project/Area Number |
17760651
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
南 佳成 独立行政法人海上技術安全研究所, 実海域性能評価PT, 主任研究員 (60399516)
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Keywords | 電気推進 / 環境負荷低減 / 最適運航 / 最適制御 / 環境評価 / 電気推進船 |
Research Abstract |
本研究において、電気推進船における電動機の効率やシステム構成等を調査し、電気推進システムの応答モデルを構築した。さらに、船舶の航海全体における負荷変動に基づいた最適制御アルゴリズムを開発した。本アルゴリズムにおいて、航路を複数の区間に分割し、それぞれの区間における主機関運転台数及び機関出力を設計変数とした。また、制約条件としては定時運航を考慮して目的港までの航海時間の上限を設定した。本問題は、連続変数(機関出力)と整数値(運転台数)が混在する混合整数計画問題になるために、かなりの計算コストを必要とすることが考えられる。そこで、本研究では実用的かつ容易に本問題の最適解を求める方法として、整数値を擬似的に連続変数とみなし非線形計画法を用いるアルゴリズムを採用した。対象船を内航セメント船とし、海運会社から提供された運航データをもとに、開発した最適制御アルゴリズムを用いた最適運航シミュレーションを実施した。機関システム(発電用小型ディーゼル機関)の搭載台数をパラメータとし、2台、3台、4台のシステムにした場合の燃料消費量削減効果を評価した。シミュレーション結果から、搭載機関4台の電気推進システムは船体抵抗(有効馬力)、自航要素を既存船と同様とし、電気推進のエネルギー伝達ロスを考慮しても、在来船(中低速大型ディーゼル機関一台)と比較して燃料消費量が同等にできることが分かった。これにより、電気推進システムに搭載される発電用小型ディーゼル機関は、一般的に中低速大型ディーゼル機関に比べて燃費性能が悪いが、運航時の負荷変動を考慮して機関の運転台数、出力を最適制御することにより燃費性能が向上できることを検証できた。また、同条件で環境影響評価を実施し、電気推進システムの採用による貨物容積増加効果によって環境影響評価指数(GHG Index (CO_2))は既存船と比較して5%削減(搭載機関:4台のケース)できる見込みが得られた。
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