2005 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性錯体と易分離性媒体を用いたアースコンシャス汚染土壌浄化
Project/Area Number |
17760654
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 真由美 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10339690)
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Keywords | 土壌汚染 / 鉛土壌汚染 / 土壌洗浄法 / 錯化溶解 |
Research Abstract |
現在,日本で行われている重金属汚染土の物理洗浄法(物理選別)は,欧米方式をそのまま採用しているが,この方法では重金属微粒子と土微粒子の物理選別ができないため,微粒群は全量,最終処分対象となり,微粒土の割合が欧米に比べて高い日本では,最終処分する微粒土が多量に発生するという問題が生じている。そこで本研究では,限られた形態の重金属しか除去できなかった既存の処理法に化学的前処理を融合させ,重金属の存在形態の転換を図ることで各種形態の重金属の物理選別を可能にする土壌処理プロセスを考案し,検討している。具体的には1)環境中で容易に分解する錯体を用いて重金属を可溶化し,2)可溶化した重金属を媒体表面にセメンテーションの原理を利用して選択濃縮し,3)この重金属が濃縮した媒体を物理選別で精度よく分離・除去する方法の開発を目的としている。本年度は初年度であり「模擬試料を用いた各工程の個別試験」を室内規模で行い,最適処理条件を決定するための各種因子の影響を調べた。錯化剤としては,クエン酸Naおよびクエン酸を用い,両者を混合することで,pHの異なる水溶液を作成した。模擬汚染源としては土中での鉛の風化形態として代表的な炭酸鉛を用いた。重金属濃縮媒体としては電解鉄粉を用いた。はじめに適当な条件で処理を行い,考案したプロセスの有効性を確認したところ,既存の方法よりも少量の錯化剤で,効率的に重金属の除去が行えること,排水処理や脱水などに要する手間やコストが低減可能であることが確認された。ついで,(1)熱力学的平衡計算による,炭酸鉛の錯化,重金属濃縮媒体への濃縮可能溶液状態の把握,(2)反応速度の把握,(3)炭酸鉛錯化に及ぼす錯化剤濃度の影響,(4)処理溶液pHの影響,(5)重金属濃縮媒体添加量の影響などを検討し,実土壌処理のための処理条件を決定した。以上のように,研究実施計画通りに研究は順調に進んでいる。
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