2006 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性錯体と易分離性媒体を用いたアースコンシャス汚染土壌浄化
Project/Area Number |
17760654
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 真由美 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (10339690)
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Keywords | 土壌汚染 / 鉛土壌汚染 / 土壌洗浄法 / 錯化溶解 |
Research Abstract |
現在,日本で行われている重金属汚染土の物理洗浄法(物理選別)は,欧米方式をそのまま採用しているが,この方法では重金属微粒子と土微粒子の物理選別ができないため,微粒群は全量,最終処分対象となり,微粒土の割合が欧米に比べて高い日本では,最終処分する微粒土が多量に発生するという問題が生じている。そこで本研究では,限られた形態の重金属しか除去できなかった既存の処理法に化学的前処理を融合させ,重金属の存在形態の転換を図ることで各種形態の重金属の物理選別を可能にする土壌処理プロセスを考案し,検討している。具体的には1)環境中で容易に分解する錯体を用いて重金属を可溶化し,2)可溶化した重金属を媒体表面にセメンテーションの原理を利用して選択濃縮し,3)この重金属が濃縮した媒体を物理選別で精度よく分離・除去する方法の開発を目的としている。 本年度は2年度である。昨年度は「模擬試料を用いた各工程の個別試験」を行い,期待通りのよい結果が得られたが,得られた最適条件で行なった実汚染土壌でのPb除去率が30%程度であったとことから,本年度は律速因子の解明を行った。主な原因として,a)Pb溶解に必要な全クエン酸濃度が試薬試験よりも,実土壌のほうが高濃度であること,b)可溶化したPbがセメンターション後に土粒子との摩擦により剥離すること,が明らかとなった。これらの要因を勘案して可溶化とセメンテーション除去の2段階に分けた実験を行なったところ,Pbをほぼ全量除去可能であることが示された。しかし,この方法では,当初の計画よりも試薬量や手間がかかることから,1段階で処理できるようにプロセスを改良中である。以上のように,おおよそ研究実施計画通りに研究は順調に進んでいる。
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