2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760656
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原 淳子 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (40374996)
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Keywords | 残留性有機塩素化合物 / 脱塩素作用 / 黄鉄鉱 / 自然減衰 |
Research Abstract |
本年度は閉鎖系実験により、POPsをターゲットとした黄鉄鉱による脱塩素反応試験を行った。反応は土壌中の嫌気環境におけるPOPsの減衰反応を想定しているため、水溶液中の溶存酸素および気相中酸素を窒素で交換し、窒素雰囲気下で黄鉄鉱の脱塩素能を評価した。残留性有機塩素化合物としてはPOPsがベンゼン環を有していることから、まずクロロベンゼン類12種を用いて塩素の配位サイトによる脱塩素能力の評価試験、黄鉄鉱への吸着試験を行った。ベンゼン環への塩素配位のうち、トリクロロベンゼン、つまり3分子までの塩素の脱塩素作用は塩素の配位置によって黄鉄鉱による脱塩素速度の違いはなかった。また、脱塩素速度も10日で80%の出発物質が分解された。それに対し、テトラクロロベンゼンは異性体によって全く分解能が異なる。1,2,3,4,-および1,2,3,5,-はトリクロロベンゼンと同等の反応性を示したのに対し、構造的に安定な配位を有する1,2,4,5-テトラクロロベンゼンの反応性は1/4に減少した。また、これらの配位を有するテトラクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼンの反応性も低く、10日ほどで10〜20%の反応性しか示さず、その後の反応性も極めて悪い結果が得られた。また、中間生成物および反応生成物を同定することにより、反応経路を明らかにできた。本反応では最終生成物として脱塩素したベンゼンに留まらず、一部ベンゼン環が開環して直鎖の炭化水素へと無害化されていることが明らかとなった。これらの予備実験に基づき、2,3,7,8-ダイオキシンの反応特性を考察したところ、その反応性は1,2,4,5-テトラクロロベンゼンと同様に20%の脱塩素作用が観察された。これらの結果から、ダイオキシン類の脱塩素作用において特に構造的に安定な4配位2,3,7,8-を持つこれより高塩素含有PCDD類の分解は困難であることが明らかとなった。来年度はこの結果を基に、電気的な構造に誤りのあるPCBに関する黄鉄鉱の脱塩素作用について検討することとする。
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Research Products
(4 results)