2006 Fiscal Year Annual Research Report
シュウ酸浸出法による重金属含有廃棄物焼却飛灰中のカルシウムの再生循環利用
Project/Area Number |
17760659
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤田 佳代 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (90372531)
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Keywords | 飛灰 / カルシウム / シュウ酸 / 重金属 / シュウ酸カルシウム / 循環利用 / 不溶化 / 酸性ガス吸収 |
Research Abstract |
本申請研究では、シュウ酸を用いて飛灰中の重金属とカルシウムを分離し、カルシウムを酸性ガス吸収剤として再生するクローズド・システムを新規提案する。提案システムを構築するためにはa)飛灰中重金属のシュウ酸による浸出挙動の解明および制御指針の確立、b)再生吸収剤の性能評価、さらにはc)酸化ウランを用いた低レベル放射性廃棄物焼却飛灰への適用の検討が重要となる。最終年度である平成18年度は以下の研究を行った。 再生吸収剤の性能評価 飛灰をシュウ酸で浸出した残渣から作製した再生吸収剤の塩化水素吸収実験を行った。再生吸収剤の性能は、破過時間、吸収量とも、試薬の水酸化カルシウムを焼成して作製した吸収剤の半分程度であることが明らかとなった。 酸化ウランを用いた低レベル放射性廃棄物焼却飛灰への適用の検討 都市ごみ溶融飛灰にUO_2を約10wt%添加して模擬飛灰を作成し、重金属と同様に浸出挙動を検討した。ウランとシュウ酸系のEh-pH線図を作成した。Ehを変化させるためにシュウ酸に過酸化水素水を加えたところ、85%のウランの浸出割合が得られた。ウランも、鉛等の重金属と同様、Eh-pHにより浸出性を制御できることが明らかとなった。 微生物を用いたシュウ酸の製造と飛灰中カルシウム再生循環利用への適用の検討 本プロセスで必須となるシュウ酸を、食品廃棄物等から微生物を用いて製造して利用することを検討した。微生物A.nigerをスクロース等を含む培養液で培養してシュウ酸を製造し、この培養液に飛灰を浸積することでシュウ酸カルシウムが生成することをX線回折により確認した。また、培養液中に直接飛灰を加えた状態においてもA.nigerの培養が可能であった。これらのことより、A.nigerを含む培養液に、飛灰と栄養分を加えることで、再生吸収剤のもととなるシュウ酸カルシウムを作製することが可能であることが明らかとなった。
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