2005 Fiscal Year Annual Research Report
一般廃棄物焼却灰の水熱処理による含有重金属安定化と資源化
Project/Area Number |
17760661
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江藤 次郎 九州大学, 大学院工学研究院, 学術研究員 (90380592)
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Keywords | 都市ごみ焼却残渣 / 再資源化 / 水熱処理 / 重金属安定化 / 粘土鉱物 |
Research Abstract |
都市ごみ焼却残渣を水熱処理し熱水性二次鉱物を生成することにより、含有重金属を安定化することを試みた。この処理により焼却残渣を土木資材等として再資源化することにより循環型社会の形成に寄与することを目的とする。都市ごみ焼却残渣は自然界の熱水性二次鉱物と化学組成が異なるため、不足成分を他の廃棄物を混合することにより補う点に特徴を有する。また、土木資材等として長期にわたり雨水に曝された場合、酸性雨の影響により間隙水のpHが低下し、焼却残渣中の重金属が溶出する恐れがあるが、中性-酸性で安定な粘土鉱物を水熱処理により生成させ、重金属を鉱物内部に予め取り込むことにより溶出を防止することができる。 本年度は基礎的知見を得るため、成分調整には廃ガラスや廃土、石炭灰等の廃棄物のほか試薬を用いた。反応系の液固比は5、温度は200℃、圧力は自生圧とし、反応時間は120時間とした。反応溶液にはイオン交換水を用いた。その結果、珪素とマグネシウムを補った系において重金属吸着能に優れた粘土鉱物であるモンモリロナイトが生成された。また、焼却残渣のみの試料でハロイサイトが、アルミニウムのみを加えた試料でサポナイトがそれぞれ確認された。さらに、殆どの実験系において重金属の取込み作用が知られるトバモライトと方解石が確認された。反応後の溶液には重金属は殆ど含まれておらず、熱水性二次鉱物中に効果的に固定化されたことを示している。この様に本年度は水熱処理による粘土鉱物等の生成を達成し、重金属安定化を示す結果を得た。また、これらの成果を廃棄物学会や国際ワークショップ等にて報告した。 次年度は反応温度、時間、液固比の最適化を図るとともに、溶出試験等により熱水性二次鉱物中への重金属の固定化作用を確認することで、新たな都市ごみ焼却残渣の安定化技術を確立したい。また、研究成果を国際学会や学術誌において報告する予定である。
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