2006 Fiscal Year Annual Research Report
デンプン系バイオマスからの生物学的水素回収に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17760662
|
Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
浅野 憲哉 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助手 (90311026)
|
Keywords | エコ燃料 / バイオマスエネルギー / 水素発酵 / 揮発性脂肪酸 |
Research Abstract |
バイオディーゼルやバイオエタノールなどのエコ燃料が地球温暖化防止策の一つとして注目を浴びるようになり、食品残渣や食品加工廃水などに多くみられるデンプンからの水素ガスの回収を目的とした研究を実施した。従来、水素ガスは分解しやすい有機物のメタン発酵で発生することが知られていたため、本研究では水素生成細菌群によりデンプン等の水素発酵をした。その際、代謝副産物であり他のエコ燃料などとして利用可能である揮発性脂肪酸(VFA)の生成も調査した。水素ガス濃度やVFA濃度はガスクロマトグラフにより測定した。 水素生成細菌群は、過去に著者が考案した方法により得た。すなわち、大豆、酒かすおよび乳酸菌飲料を粉砕・混合したものにグルコース溶液を添加して室温で数日問培養したものである。それにより得た水素生成細菌群は、サッカロース20,000ppmおよびその他の無機塩類を含む合成廃水により中温条件で馴致し、回分実験の種汚泥とした。 水素発酵の基質として、サッカロース、デキストリン、可溶性デンプン、コーンスターチ、バレイショデンプンを20,000ppm含む培地をそれぞれ用いて回分実験を行った。水素の回収率は、COD比で10〜12%程度であり、基質となる有機物による大きな違いは見られなかった。一方、副産物であるVFAの回収率は、COD比で酢酸が3%程度と少なく、酪酸が24〜49%の範囲で差が激しいもの大量に発生していた。 この研究では水素を回収することが目的であったため、酪酸が大量に発生することは好ましくないが、酪酸自体はエコ燃料の原料として期待されるため、別の面からエネルギー回収の検討が必要である。
|