2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウム・水素同位体照射下におけるプラズマ対向材料の動的リテンション特性
Project/Area Number |
17760668
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩切 宏友 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80325480)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 重水素 / 照射効果 / 核融合材料 / プラズマ対向材料 / 水素 / ボイド / 昇温脱離実験 |
Research Abstract |
本研究は水素同位体及びヘリウム照射下における各種プラズマ対向材料の動的リテンション特性についての基礎的かつ系統的なデータを取得し、ITERやLHD等の各種大型装置が長時間放電時に生じうる問題点を明らかにし、関連する研究者に必要な知見を提供することを目的として行っている。動的リテンション特性を十分に解析するためには材料中における基本的な水素同位体の保持・放出特性が重要になる。今年度は特に遷移金属材料中にキャビティ(三次元的な空洞)が形成された時における重水素の保持・放出特性に注目した研究を行った。 Fe-9%Cr二元系合金に対して4keVの重水素イオンを照射したところ、室温照射下ではキャビティの形成は一切見られないのに対し、573Kで照射すると多量のキャビティが観察されるようになる。この時、キャビティの内部に重水素分子が含まれていることがTDS実験より明らかになった。しかしながら、アルミニウムやベリリウムと比べ、その内部に含まれる重水素分子は極めてすくない。Fe-9Crにおけるキャビティ中に含まれる重水素分子は照射されたイオンの数%以下に過ぎない。一方,キャビティを形成後に室温で重水素を追照射した試料においては多量の重水素が保持されるようになった。しかしながら、重水素分子として放出される量は依然として極めてすくない。このことは,追照射によって試料中に導入された重水素原子がキャビティの内部に分子化して捕獲されるようなことがほとんどないことを示している。したがって、この状況下におけるほとんどの重水素はキャビティの壁、すなわち、キャビティとマトリックスとの界面に原子状で捕獲されていると考えられる。
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Research Products
(4 results)