2005 Fiscal Year Annual Research Report
核反応分析法によるプラズマ対向壁の重水素保持量分析
Project/Area Number |
17760674
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
林 孝夫 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (70354652)
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Keywords | 重水素 / 核反応分析法 / NRA / JT-60U / ダイバータ / 黒鉛タイル / プラズマ壁相互作用 / 共堆積 |
Research Abstract |
日本原子力研究開発機構の核融合中性子源(FNS)施設においてD+D→p+t反応を用いた核反応分析(NRA)を実施し、JT-60Uダイバータ領域に用いられている黒鉛タイル中の重水素保持量深さ分布を測定した。最も重水素濃度が高かったのは外側ドームウィング(D/^<12>C〜0.053)であり、その主な蓄積過程は炭素-重水素の共堆積によるものであった。軽水素を含めた水素同位体の濃度については、NRAおよび2次イオン質量分析装置(SIMS)の結果からドーム頂部において(H+D)/^<12>C〜0.023と分かった。 内側ダイバータターゲット領域では、走査電子顕微鏡(SEM)によりタイル表面に厚さ約60μmの堆積層が観察されたが、プラズマ放電中のタイル表面温度が高いために重水素量が少なかった(D/^<12>C≦0.005)。外側ダイバータ領域ではタイル温度も高く、プラズマ壁相互作用により表面が深さ約20μmの損耗を受けており重水素量が少なかった(D/^<12>C≦0.006)。これらの結果から重水素蓄積はタイルの表面温度や損耗・堆積などの表面状態の影響を受けることが分かった。また軌道追跡モンテカルロコード(OFMC)を用いて中性粒子入射(NBI)により入射された粒子の軌道計算を実施し、ドーム頂部に多くの高エネルギー重水素が打ち込まれることを示した。 NRAによる重水素保持量深さ分布、SEM観察およびOFMC計算により、重水素分布は主に重水素-炭素の共堆積、重水素イオンの打ち込みおよびバルクへの拡散の複合したプロセスにより決まることを明らかにした。これはJT-60U第一壁やその表面に生じた再堆積層中の水素同位体分布を、核反応分析法や粒子軌道追跡計算手法を用いて明らかにしたものであり、プラズマ-壁相互作用による水素同位体の蓄積過程の解明に寄与するとともに、特に重水素の絶対量分布評価を示した点で重要な成果である。
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