2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760679
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 康則 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60332706)
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Keywords | 加速器駆動炉(ADS) / 未臨界度監視 / 中性子相関法 / 位置依存性 / 計数ロス / 確率過程論 |
Research Abstract |
将来の加速器駆動炉(ADS)における安全は、炉心が未臨界に維持されることで担保される。従って、それを常時確認する機能を提供する装置、未臨界度モニターを開発することは、当該炉の実現に寄与する。近年申請者は、中性子相関法(ファインマンα法、ロッシα法など)を、ADSにおいて現在想定されている運転様式である周期パルス運転モードに対応させる研究を行ってきた。その結果、動特性パラメータであるα値の測定を介したリアルタイム未臨界度モニター実現の可能性を示すところまで到達した。しかし一方で、α値の測定結果が中性子検出器の位置と高計数率条件下における検出計数ロスの影響を受けるという問題が存在することも判った。本申請はこれら2つの問題の解決を高度化と捉え、それを目指すものである。 平成17年度における研究実績の概要は、以下の通りである。 (1)検出器位置依存性は、中性子束分布における空間高調波の励起が原因である。空間高調波はパルス中性子打ち込みの直後に顕著に現れ、その後急速に退潮する。従って、打ち込み直後の時間領域を避ける実験手続きを導入することで位置依存性を緩和させることができると考え、(同期型)ファインマンα法を改良した。しかし、京大臨界集合体を用いた検証実験において、今のところ期待した効果は認められていない。現在は、その原因を究明中である。 (2)ADSにおける検出計数ロスの影響を考察するための準備として、従来炉における計数ロス効果を厳密に考慮したファインマンα法理論式の導出を確率過程論に基づいて行った。得られた式は、既存式と相似関係にあったが、既存式中において未知のまま形式的に導入されていた関数の具体的表現を与えることができた。現在は、この成果を学術誌に投稿する準備をしている。来年度はこの手法をADSに導入する。
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