2005 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子共存溶液中での芳香族系有機汚染物質の放射線分解初期過程に関する研究
Project/Area Number |
17760684
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小嶋 崇夫 大阪府立大学, 産学官連携機構, 助手 (70360047)
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Keywords | 放射線 / パルスラジオリシス / 芳香族化合物 / 微粒子 / 短寿命中間活性種 |
Research Abstract |
酸化物微粒子を共存させた系で芳香族系有機汚染物質のモデルであるフェノールの放射線分解が促進される効果について、放射線照射初期過程で生成する水和電子、OHラジカルなどの短寿命中間活性種の挙動に着目し、その挙動を高時間分解能を有する電子線パルスラジオリシス法による過渡変化測定をスピントラップ剤と用いたラジカル収量測定を併用して観測し、ガンマ線照射後の放射線分解生成物分析の結果と比較した。 パルスラジオリシス法による短寿命中間活性種の挙動観測により、微粒子を共存させた水では、純水の放射線照射初期過程に比べてOHラジカルおよび水和電子の初期収量が増加した。マイクロ秒電子線パルスを照射後に生成するフェノール由来の活性種を検出した。この活性種はマイクロ秒の時間領域で減衰し、酸化物微粒子の添加量を増加させると電子線パルス照射直後の初期生成量の減少が観測された。 GC・LCによる放射線分解生成物収量の測定では、0.1wt.%の酸化物微粒子(チタニア、シリカ、アルミナ)を添加したフェノール水溶液を懸濁状態を保つためにバイアル瓶を回転させながら吸収線量率4kGy/hで吸収線量1-100kGyとなるようにガンマ線を照射し、生成物を分析した。照射後のフェノール濃度は吸収線量の増加に伴い減少し、20kGyでは検出限界以下となった。全有機炭素(TOC)測定による分解生成物の測定では、酸化物微粒子を添加したフェノール水溶液を照射すると吸収線量の増加に伴い全有機炭素量が減少した。 従って、微粒子の添加によるフェノールの放射線、分解および全有機炭素量の減少は、パルスラジオリシスで観測した水和電子、OHラジカルの増加の影響を受けていることが明らかになった。次年度は、微粒子添加によるフェノール類の分解機構を環境への負荷が大きい含ハロゲン芳香族化合物に対象を拡大して検討し、微粒子添加の有効性を確認する。
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