2007 Fiscal Year Annual Research Report
多層膜スーパーミラーを用いた熱中性子ビーム収束技術の開発
Project/Area Number |
17760685
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
田村 格良 Japan Atomic Energy Agency, 東海研究開発センター・原子力科学研究所・研究炉加速器管理部, 研究員 (80370427)
|
Keywords | 熱中性子ビーム制御 / 中性子ビーム制御装置 / スーパーミラー / ベンダー / 極薄基板 |
Research Abstract |
ビーム取出口近傍での熱中性子ビームを集光させる技術開発のステップの1つとして、小さな曲率半径で熱中性子ビームを曲げる技術の開発が必要である。平成19年度は、平成17年に製作したミラーホルダー及び平成18、19年度に製作した両面多層膜スーパーミラーを用いて小さな曲率半径で熱中性子を曲げる装置の製作を終了し、単色冷中性子ビームを使用して製作した装置の性能を評価した。 中性子反射率計により、成膜した0.2mm厚の両面多層膜スーパーミラーを測定し、Ni単層膜ミラーの3倍の性能を持ち反射率が90%を持つことを確認した。一方、50μm厚の両面多層膜スーパーミラーは割れていたため測定できなかった。成膜による応力に基板が耐えられないためと考えられる。 小さな曲率半径で中性子を曲げる装置は、0.2mm厚の両面多層膜スーパーミラーと50μmの極薄のガラススペーサーを交互に積み重ねることで製作した。全長は40mmである。 単色の冷中性子ビーム(波長3.93Å)を製作した小さな曲率半径で熱中性子を曲げる装置に入射して、中性子ビームを曲げる角度、透過率及び発散に関しての性能評価実験をおこなった。中性子ビームを曲げる角度は設計の2.4度より小さい2.1度であることが判明した。これは、製作した装置の曲率半径が設計上の0.94mより大きい1.1mであったためと考えられる。中性子ビーム強度の角度分布測定から、製作した装置の冷中性子ビームの透過率は72%であることと、製作した装置によって曲げられた冷中性子ビームの発散は0.3度から0.8度と広がることが明らかになった。 提案した技術を用いることで、中性子ビーム強度が3割減少するが、わずか40mmで2.1度曲げることを確認できた。この技術を応用することにより熱中性子ビームを集光させることが実現可能であることが明らかになった。
|