2005 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ属の魚類に見る日本メダカ性決定遺伝子dmrtlbYの機能の分化
Project/Area Number |
17770002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 真理子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 研究拠点形成特任教員 (70372414)
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Keywords | ゲノム / 進化 / 遺伝子 / 性決定 / メダカ / 動物 |
Research Abstract |
日本メダカOryzias latipesのdmrt1a遺伝子と、その重複によって生じた雄性決定遺伝子であるdmrt1bY遺伝子に焦点を当て、性決定遺伝子としての機能の分化について研究した。 まず、遺伝子発現を制御している調節領域の同定を試みた。日本メダカに近縁なハイナンメダカ(O.curvinotus)のdmnt1aとdmrt1bY、ルソンメダカ(O.luzonensis)のdmrt1遺伝子の上流域それぞれ約3kbをクローニングした。日本メダカの配列をあわせて比較した結果、dmrt1a同士の配列は、上流約2kbにわたって60%以上の高い相同性を示すが、dmrt1a/1bY間では相同な領域の長さは短く(200-300bp程度)、相同性も低いことがわかり、dmrt1bYはdmrt1aとは異なる調節を受けていると言える。また、日本メダカとハイナンメダカのdmrt1bYの配列の相同性は高いとは言えず、dmrt1bYの調節領域は種間ではdmrt1aほどの保存はされていないことが示唆された。 一方で、遺伝子産物の機能の違いをタンパク質レベルで明らかしようと試みた。約280アミノ酸からなるDmrt1a/1bYタンパク質のうち、DNA結合領域よりC末側の部分をyeast two hybridで用いられる系統の酵母に発現させたところ、転写活性が検出された。この領域を2つに分けて発現させたところ、C末側の約100アミノ酸ではDmrt1bYの転写活性がDmrt1aよりも高かった。すなわち、2つの遺伝子産物は転写因子として機能するが、活性に差があることが明らかになった。この領域でDmrt1a/1bY間で異なるアミノ酸を、dmrt1a遺伝子に変異を導入することによってDmrt1bYと同じ配列になるように改変した。その結果、異なっている8つのアミノ酸残基のうちの2つが転写活性に関与していることが示された。
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Research Products
(2 results)