2006 Fiscal Year Annual Research Report
アリ-アブラムシ共生関係の緊密レベルと遺伝的多様度減少のトレードオフの検証
Project/Area Number |
17770010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八尾 泉 北海道大学, 大学院理学研究院, 博士研究員 (70374204)
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Keywords | アリ共生型アブラムシ / 遺伝子多様度 / マイクロサテライト / 平均ヘテロ接合度 / 局所集団 |
Research Abstract |
生物の遺伝的変異の程度を測定するためのより適切な尺度は,「平均ヘテロ接合度」である。これは一つの集団から任意に抽出した二つの対立遺伝子が異なる確率を示しており,「遺伝子多様度」とも呼ばれる。この遺伝子多様度は繁殖個体集団のサイズに強く影響を受けており,そのサイズが小さいほど,どちらかの対立遺伝子が集団から消失しやすくなる。この結果,集団中のヘテロ接合度は徐々に低くなっていくと考えられる。何らかの理由によって,個体の移動が自由にできない場合,この集団は局所個体群となり,近隣の個体だけで配偶が行われるであろう。常にアリに随伴され,甘露を提供しているアブラムシは自由に移動・分散できないために,交配集団が小さくなっていると考えられる。その結果,いくつかの遺伝子座ではホモ接合体が多くなっていることが予想される。本研究は,同一の寄主植物上からサンプリングしたアリ共生型/非共生型Tuberculatus属アブラムシの12カ所におよぶマイクロサテライトDNA遺伝子座のホモ/ヘテロ接合度を測定し,アリ共生のレベルと遺伝子多様度の関係を考察した。用いたアブラムシは共生レベルが強い3種:T.quercicola, T.sp.A,そしてT.sp.B.,またアリと共生しないアブラムシ2種:T.paikiとT.japonicusも含め5種とした。データ解析として手始めに,ホモ=0,ヘテロ=1として各遺伝子座の平均値を算出した。結果は予想通り,アリ共生型3種の平均ヘテロ接合度はアリと共生しない2種のそれより低く,平均して多くの遺伝子座がホモとなっており,遺伝子多様度が低いと言えるだろう。
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Research Products
(1 results)