2005 Fiscal Year Annual Research Report
空間生態学の展開:空間ネットワーク構造上の生物相互作用進化の理論的研究
Project/Area Number |
17770014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中丸 麻由子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 講師 (70324332)
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Keywords | 格子モデル / 協力行動と罰行動の共進化 / 得点依存生存率モデル / 得点依存増殖率モデル / コロニーベースモデル / 分散戦略の進化 / 情報の伝播とネットワーク |
Research Abstract |
格子モデルなどの空間ネットワーク構造が生態学へ新しく示唆する3点に関して理論的研究を行った。 【1】格子モデルと生活史に関する2つの仮定:格子モデル上で生活史に関する以下の2つの仮定(得点依存生存率モデル、得点依存増殖率モデル)に着目して研究を行った。協力行動と非協力者への罰行動の共進化を題材に、この2つの仮定による格子モデル上での進化ダイナミクスの違いを検証した。得点依存増殖率モデルでは、協力から得られる利益や罰されるコスト(罰金)が高い時に、協力行動は進化する。一方、得点依存生存率モデルでは罰金が高い時のみに協力行動は進化するという結果となり、嫌がらせ行動の進化とも関係していることを示した。これらの結果はEvolutionary Ecology Research誌およびJornal of theoretical biology誌に掲載または掲載予定である。 【2】個体ベース格子モデルとコロニーベース格子モデル:ある種のアリの生活史を題材にし、コロニー単位の動態に着目して、コロニーの分割比や分散距離のトレードオフの進化について研究を行っている。 空間構造として格子モデルを仮定してシミュレーション解析を行ったところ、環境撹乱下で非分散型の戦略が進化しやすくなることを示した。これは、個体単位をベースとした従来のモデルでの挙動とは異なった結果である。只今、論文を投稿準備中である。 【3】様々な空間ネットワーク構造と生物相互作用の進化:空間ネットワーク上を伝播する情報が社会的相互作用の進化への及ぼす影響について理論的研究について、C++プログラム作成中である。平成18年度には成果報告可能である。
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Research Products
(4 results)