2006 Fiscal Year Annual Research Report
空間生態学の展開:空間ネットワーク構造上の生物相互作用進化の理論的研究
Project/Area Number |
17770014
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中丸 麻由子 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 講師 (70324332)
|
Keywords | 格子モデル / 協力レベルと罰行動の共進化 / 罰反応関数 / Adaptive Dynamics / コロニーベースモデル / コロニー分割化 / 情報の伝播とネットワーク |
Research Abstract |
格子モデルなどの空間ネットワーク構造が生態学へ新しく示唆する点に関して下記のような理論的研究を行った。 【1】格子モデル上での協力レベルの進化と罰反応関数の進化について:H17,18年度に論文成果になった協力と罰の共進化研究では離散的な戦略を用いた。18年度にはオーストリア、IIASAのUlf Dieckmann博士と始めた研究内容では、協力レベルや罰レベル、罰の反応関数を仮定し、罰行動によって協力レベルは進化の結果上昇するかどうかについて、Adaptive dynamicsという数学的手法やコンピュータシミュレーションを用いて調べた。格子モデルによって協力レベルが上昇するという研究は他の研究でもあるが、非協力者への罰によっても協力レベルが進化して上昇する事を示した。また、その時の最適な罰反応関数も求めた。只今、投稿準備中である。 【2】個体ベース格子モデルとコロニーベース格子モデル:H17年度に続き、アリの生活史を題材にし、コロニー単位の動態に着目して、環境撹乱下でのコロニーの分割比や分散距離のトレードオフの進化について研究を行っており、再投稿準備中である。また、H18年度には空間構造の無い場合のモデルとして行列推移モデルを用いて、環境撹乱下のコロニー分割比と分割タイミングに関する共同研究も行い、空間構造の影響について吟味した。これについては19年度中には成果発表が可能である。 【3】様々な空間ネットワーク構造と生物相互作用の進化:17年度に続き、空間ネットワーク上を伝播する情報が社会的相互作用の進化への及ぼす影響について理論的研究を行っているが、本研究費の謝金で研究補助を雇いC++プログラムを完成させた。平成19年度には論文にまとめて投稿する予定である。
|