2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770028
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小竹 敬久 埼玉大学, 理工学研究科, 助手 (20334146)
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Keywords | 糖ヌクレオチド / 細胞壁代謝 / サルベイジ経路 / 糖ヌクレオチドピロホスホリラーゼ / 単糖キナーゼ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物細胞壁を構成する多糖類は、UDP-糖やGDP-糖を基質として、糖転移酵素の働きにより合成される。糖ヌクレオチドの代謝は直接的に細胞壁多糖類の合成を制御している。植物の糖ヌクレオチド合成経路のうち、遊離単糖をUDP-糖やGDP-糖に変換するsalvage経路には未解明な反応が多い。本研究では、シロイヌナズナとイネのゲノムを利用して、salvage経路で働く植物特有の糖ヌクレオチド合成酵素、UDP-糖ピロホスホリラーゼ(USP)及び二機能性L-フコキナーゼ/GDP-L-Fucピロホスホリラーゼ(FKGP)を同定し、これらの特性や生理機能を明らかにした。 USPは、各種糖1-リン酸をUTPの存在下で各種UDP-糖に変換する活性を有し、salvage経路で、UDP-グルコース、UDP-ガラクトース、UDP-L-アラビノース、UDP-グルクロン酸の合成を触媒することが示された。シロイヌナズナではUSP遺伝子を欠損すると花粉が正常に発達せず、優性不稔となった。 FKGPは、L-フコキナーゼ活性とGDP-L-Fucピロホスホリラーゼ活性を有し、L-Fucのsalvage経路における連続する2つの反応(L-Fucのリン酸化とGDP-L-Fucへの変換)を触媒する。FKGPはL-Fuc 1-リン酸への親和性が高く、連続する2つの反応を効率的に触媒すると考えられる。 糖ヌクレオチド合成のデノボ経路で働く酵素の多くは動物で同定された酵素の相同タンパク質であるが、salvage経路で働くUSP、FKGPは植物特有のタンパク質であった。このことは、植物が活発な細胞壁多糖類の合成・分解に合わせて、単糖のsalvage経路を発達させたことを示唆する。
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Research Products
(2 results)