2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境シグナルに対する植物の応答:フォトトロピンを介した青色光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
17770033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 友美 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10362435)
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Keywords | 青色光受容体 / フォトトロピン / シロイヌナズナ / 情報伝達系 / 細胞内局在 / 小胞輸送 |
Research Abstract |
フォトトロピン(phot)は450nm付近の青色光を感知し、光屈性・葉緑体定位運動・気孔開口を誘引する光受容体である。これまでに単細胞緑藻類から高等植物においてフォトトロピン(phot)の存在が報告され、様々な遺伝学的解析により同情報伝達経路に関与する因子が幾つか取得されている。しかし、相互作用因子を含めた詳細な分子機構に関しては未だ不明である。そこで、申請者はシロイヌナズナを用いてフォトトロピンを介した青色光情報伝達機構の解明に取り組んだ。その足がかりとして酵母Two-hybrid法にてフォトトロピンと相互作用する因子を検索したところ、小胞輸送に関与する低分子量G蛋白質Arf1の取得に成功した。ゲノム配列からシロイヌナズナでは22種類のArf遺伝子の存在が明らかになっているが、動物のそれほど詳細な解析は進んでおらず、生理的役割は不明である。 本研究では、Arf1の役割とその分子機構の解明に焦点をあてることで青色光情報伝達系の分子機構の解明を行った。 先ず、photとArfとの詳しい相互作用解析を行ったところ、photのKinase領域を介してGTP結合型Arf1が特異的に相互作用することを明らかにした。シロイヌナズナにはphot1、phot2という2種類のフォトトロピンが存在している。両者のArfとの相互作用を調べると、phot1はArf1とのみ結合できるが、phot2はArf1のみならず、Arf1と機能的に大別されるArf3とも結合できることが明らかとなった。このことは、phot1とphot2の機能的相違を説明しうる可能性を示唆している。 続いて、Arf1及びArf3のドミナント変異の過剰発現植物体の作出に取り組んだ。現在、予備的結果ではあるが、これら植物体において青色光応答に異常が観察されている。 この他に、Yeast two hybrid法を用いてArf1と相互作用できないphotの変異遺伝子を網羅的に検索したところ、幾つかの興味深い変異を取得することに成功した。今後、これら変異photを用いて詳しい解析を行う。
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