2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境シグナルに対する植物の応答:フォトトロピンを介した青色光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
17770033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 友美 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (10362435)
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Keywords | 環境 / シグナル伝達 / 植物 / 生理学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
フォトトロピン(phot)は青色光を感知し、光屈性・葉緑体定位運動・気孔開口を誘引する因子である。シロイヌナズナではphot1、phot2の2種類のフォトトロピン遺伝子が存在している。photはN末端側にフラビンを発色団として結合する発色団領域とC末端側のSer/Thrキナーゼ領域からなる色素タンパク質であり、細胞膜と結合して存在すると言われている。様々な遺伝学的解析から、フォトトロピン反応関連因子が取得・解析されてはいるものの、詳細な情報伝達経路解明には至っていない。そこで、申請者はシロイヌナズナを用いて分子レベルでのフォトトロピン情報伝達機構の解明に取り組んだ。その足がかりとして酵母Two-hybrid法にてphotと相互作用する因子を検索したところ、4種類の新規遺伝子の取得に成功した。その一つが、小胞輸送に関与する低分子量G蛋白質ARF1であった。ゲノム配列からシロイヌナズナでは19種類のARF遺伝子の存在が明らかになっているが、動物のそれほど詳細な解析は進んでおらず、その生理的役割は不明である。詳細な相互作用解析を行ったところ、photはARF1のGTP結合型に親和性が高く、ARF1(GTP型)はphot1、phot2両者のキナーゼ領域と強く相互作用することが明らかになった。また、現在継続中の研究課題(若手(B))では、フォトトロピンが青色光依存的にGolgi体に移行すること、その移行にはphotのキナーゼ領域が必要であることを発見した。シロイヌナズナARF1がGolgi体に局在することは既に報告されており、これらの結果から、フォトトロピンが光依存的にGoligi体でARF1を制御している可能性が考えられる。実際、ARF1(GDP型)及びARF1(GTP型)を過剰発現させた植物体では光屈性が見られなくなる。さらに、ARF1(GDP型)及びARF1(GTP型)を一過的に発現させると、葉緑体運動に異常が見られることからオルガネラ運動へのARF1の関与も示唆できる。
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