2005 Fiscal Year Annual Research Report
青色光と緑色光によって光変換する新種光受容体の光受容機構の解析
Project/Area Number |
17770041
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉原 静恵 大阪府立大学, 理学系研究科, 助手 (20382236)
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Keywords | フィトクロム / 光受容体 / 青色光 / シアノバクテリア / 開環テトラピロール |
Research Abstract |
シアノバクテリアの正の走光性の光受容体PixJ1は、植物の光受容体フイトクロムの発色団結合領域に相同性を示すが、フィトクロムが示す赤色光と遠赤色光による可逆的光変換とは大きく異なり、青色光(最大吸収波長435nm)と緑色光(最大吸収波長535nm)によって可逆的変換する新種の光受容体である。本研究では、PixJ1の発色団の同定を目指した。 申請者はすでに、シアノバクテリア細胞から精製したPixJ1の解析から、PixJ1には何らかの開環テトラピロールが発色団として結合する結果を得ていたため、様々な開環テトラピロール合成酵素とPixJ1の発色団結合ドメインを大腸菌で共発現させることによって、発色団を結合したホロタンパク質を調製する系を確立した。その結果、赤色光を吸収する発色団フィコシアノビリン(最大吸収波長680nm)との共発現系から得たPixJ1のGAFペプチドが、シアノバクテリアから精製したPixJ1,に一致する吸収スペクトルを示した。さらに、このGAFペプチドを用いた質量分析解析によって、予想されたシステイン残基を含むペプチドにフィコシアノビリンが結合することを明らかにした。これらの結果は、PixJ1はフィコシアノビリンの共役二重結合系をねじ曲げることによって吸収領域を短波長側の青と緑色にシフトさせていることを示唆している。このように最大吸収波長を200nm以上もシフトさせ、さらに可逆的光変換する光受容体の例はこれまでに報告されていないため、PixJ1の発色団結合領域どのような機構によって短波長側に吸収領域をシフトさせているのか、大変興味深い。 これらの結果を、Biochemistryに投稿し、受理された(Yoshihara et al. Biochemistry 2006)。
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Research Products
(4 results)