2006 Fiscal Year Annual Research Report
青色光と緑色光によって光変換する新種光受容体の光受容機構の解析
Project/Area Number |
17770041
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉原 静恵 大阪府立大学, 理学系研究科, 助手 (20382236)
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Keywords | フィトクロム / 光受容体 / 青色光 / シアノバクテリア / 開環テトラピロール |
Research Abstract |
シアノバクテリアの正の走光性の光受容体PixJ1は、植物の光受容体フィトクロムの発色団結合領域に相同性を示すが、フィトクロムが示す赤色光と遠赤色光による可逆的光変換とは大きく異なり、青色光(最大吸収波長435nm)と緑色光(最大吸収波長535nm)によって可逆的変換する新種の光受容体である。平成17年度の本研究では、PixJ1に結合する発色団の同定を試みた結果、赤色光を吸収する開環テトラピロール フィコシアノビリン(最大吸収波長680nm)がPixJ1に結合することを明らかにした。これらの結果は、PixJ1はフィコシアノビリンの共役二重結合系をねじ曲げることによって吸収領域を短波長側の青と緑色にシフトさせていることを示唆している。このように最大吸収波長を200nm以上もシフトさせ、さらに可逆的光変換する光受容体の例はこれまでに報告されていないため、PixJ1の発色団結合領域どのような機構によって短波長側に吸収領域をシフトさせているのか、大変興味深い。 平成18年度の本研究では、常温性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC6803のみならず高熱性のシアノバクテリアThermosynechococcus elongates BP1もPixJ1相同遺伝子pixJ(TepixJ)をもち、TepixJ遣伝子の発現タンパク質は、Pixj1同様に開環テトラピロールを結合し、青/緑色光による米変換を示すことを明らかにした。既に、10種を超える多様なシアノバクテリアのゲノムが解読されており、大部分のシアノバクテリアのゲノムでpixJ1相同遺伝子が保存されている。これらの事実は、シアノバクテリアは変動する光環境に適応するために、pixJ1のように多様な吸収特性を示す開環テトラピロール結合型光受容体を用いてきた可能性を示唆している(Ishizuka et al., Plant Cell physiol 2006)。さらに、PixJ1の光反応初期過程を調べるために、液体窒素温度(77K).における青色光吸収型から緑色光吸収型、さらに逆の反応経路の紫外可視吸収スペクトルを測定し、植物のものと比較した結果、植物フィトクロムは77Kよりも高い温度で最初の光反応中間体が現れるのに対して、PixJ1は77Kですでに最初の反応が起こっていることが分かった。さらに、植物の物とは特性が異なる中間体由来の吸収を観察した。現在、これらの結果をまとめて投稿中である。
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Research Products
(2 results)