2005 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞を用いた肝細胞分化誘導および肝臓形成の解析
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17770051
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
朝比奈 欣治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (40345294)
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Keywords | 肝臓 / 肝細胞 / ES細胞 / 胚性幹細胞 / 分化 |
Research Abstract |
マウスES細胞から胚様体を形成し、肝細胞への分化誘導、分化誘導効率の検討、および分化誘導された肝細胞による組織構築について研究を行っている。これまでに、肝細胞特異的遺伝子としてCYP7A1を同定しており、この遺伝子のエンハンサー・プロモーター下にGFPを発現するES細胞を樹立した。さらに、このプロモーター下でVEGFを発現するES細胞を樹立し、分化誘導される肝細胞と、血管内皮細胞との相互作用について検討した。その結果、胚様体中にGFP陽性の肝細胞が分化誘導されること、肝細胞でVEGFを強制発現させると肝細胞数や肝細胞が増加することが明らかとなった。さらに、VEGFを導入した胚様体では、尿素合成能など肝細胞の機能が亢進した。これらの結果から、肝細胞の分化、増殖、および機能には、血管内皮細胞の存在が重要であることが示された。培養した胚様体から切片を作成する方法を確立したので、現在、分化誘導した肝細胞の形態および組織構築について検討している。また、GFPなどを導入したES細胞を用いているが、ES細胞に遺伝子を導入すると、遺伝子が組み込まれた部位により発現制御が影響され、さらに導入遺伝子の発現はメチル化などで低下するため、正確な解析が困難であった。そのような問題を克服するため、遺伝子ターゲティング法により、CYP7A1遺伝子座にGFPを発現するES細胞の樹立を試みている。また、ES細胞から、どのような分化過程を経て肝細胞へ分化するのか、遺伝子発現の側面から検討している。肝細胞は内胚葉に由来するので、初期内胚葉マーカーであるCerberusに着目し、Cerberus遺伝子座にGFPあるいはCreを発現するES細胞の樹立を試みている。現在、遺伝子ターゲティングを行っており、ゲノムサザンハイブリダイゼーションにより、正しく組み換わったクローンを選択中である。
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