2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会性昆虫の脳のカースト転換を導く神経生理メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
17770063
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 謙 Kanazawa Institute of Technology, 情報フロンティア学部, 講師 (40387353)
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Keywords | 昆虫 / 神経科学 / 行動学 / 生体分子 / 生理学 / 社会性昆虫 / カースト / 生体アミン |
Research Abstract |
1.カースト間・カースト転換前後の攻撃性の違い ミツバチにおける腹部接触刺激(29箇所への刺激)に対する刺針反応頻度を調査したところ、ワーカーの刺針反応頻度は内勤・外勤ともに、女王の反応頻度と有意な差は見られなかった。しかし、断頭による刺針反応頻度の増加は、内勤・外勤ワーカーで見られたのに対し、女王では断頭による反応頻度の有意な増加は見られなかった。 有女王群と無女王群のワーカーにおける刺針反応頻度を、内勤・外勤個体でそれぞれ比較したところ、無女王群の内勤・外勤個体は有女王群の内勤・外勤個体よりも刺針反応頻度が有意に高かった。無女王群では、内勤個体が外勤個体よりも有意に高く、巣内での産卵をめぐる競争と関係している可能性が示唆された。 2.口吻味覚感覚子からのチップレコーディング法の確立 ミツバチの口吻味覚感覚子の生理学的性質を調べるために、味覚感覚子からのチップレコーディング法を確立した。ミツバチの頭部を固定し、口吻を伸ばした状態でデンタルワックスで固定した。口吻の1abial pulpの先端節と第二節にある味覚感覚子から、ショ糖とフェニルチオウレアに対する応答を記録した。各刺激に対して、濃度依存的に味覚ニューロンが発火することが確認できた。 3.原始的な真社会性ハチ種における卵巣発達と脳内アミンとの関係 ミツバチで確認された卵巣発達と脳内ドーパミン量との関係が、より原始的な社会性ハチ種においても見られるかどうかを調べる目的で、フタモンアシナガバチのワーカーを用いて、卵巣発達の程度や産卵行動、および脳内アミン量を調査した。その結果、脳内ドーパミンやその代謝物質の量は、卵巣直径や卵黄形成レベルと有意な正の相関が見られた。また、卵巣の発達している個体の内、産卵行動を示した個体は、脳内ドーパミン量が有意に高かった。このように、原始的な真社会性のハチ種においても、卵巣発達や産卵行動にドーパミンが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)