2005 Fiscal Year Annual Research Report
無色鞭毛虫のファウナとケルコゾア鞭毛虫の系統的多様性
Project/Area Number |
17770065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中山 剛 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (40302369)
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Keywords | 無色鞭毛虫 / ファウナ / ケルコゾア / 系統分類 |
Research Abstract |
海洋(特に東京湾)および淡水域(特に筑波大構内の池)より、さまざまなプロチスタ、特に鞭毛虫を採集、培養し、一部については培養株を確立した。調査の結果、多くの無色鞭毛虫をが見つかり、その大部分は本邦では未報告であった。海水・淡水域ともボド類(ユーグレノゾア)や無色黄金色藻(ストラメノパイル)が主であり、これに加えてビコソエカ類、無色ディクティオカ類(ストラメノパイル)、ケルコゾア、アプソナモス類、アンキロモナス、襟鞭毛虫などが多く見られた。これらは水域における低次捕食者として、またマイクロバイアルループにおける主要な構成メンバーとして生態的にも重要な存在である。これらの結果は、横浜沿岸のプロチスト(http:/www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/YMFF/)および筑波大学構内の水生微生物(htt://www.biol.tsukuba.ac.jp/~algae/MFFT、準備中/)としてホームページで公開している。 また東京湾天王洲水路より、1本鞭毛性の無色鞭毛虫の培養株を得たが、微細構造、分子形質より、この生物は明らかにケルコゾアのクロララクニオン藻に属することが示された。しかしこの生物はバクテリアを捕食する従属栄養性であり、微細構造的にも葉緑体の痕跡は見つからなかった。クロララクニオン藻は緑色藻類を葉緑体とした二次共生起源の藻類であるが、そのホストとなったケルコゾアについては未知であった。今回の鞭毛虫はそのホストである可能性が高い極めて興味深い生物である、ただし二次的な葉緑体の欠失、従属栄養化の生物である可能性も残されており、今後の調査が必要である。
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Research Products
(4 results)