2006 Fiscal Year Annual Research Report
東・東南アジア産サルノコシカケ類の分子系統による分類体系構築
Project/Area Number |
17770075
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
太田 祐子 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (60343802)
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Keywords | 多孔菌 / 系統解析 |
Research Abstract |
森林総合研究所微生物生態研究室が所有する「サルノコシカケ類」の現在の分類体系における主要な属74属より、基準種およびアジアを中心に汎熱帯域、熱帯から亜熱帯にかけて分布する種、あるいはアジア地域の温帯から冷温帯にかけて分布する種について、核リボソームDNAのLSU領域の部分塩基配列、RPBII (RNA polymerase II second largest subunit), EF1α (Elongation factor 1 alfa)領域の部分塩基配列について決定した。現在欧米産の既知種のデータを含めて分析を行っている。 「サルノコシカケ類」のなかでも、分類学的に混乱している属、コンプレックス種をふくむ属について、欧米産と日本(アジア)産種との関係を明らかにすることを目的として、複数領域を用いて、属内の系統関係を明らかにした。特に重大な樹木病原菌をふくむ属であるHeterobasidion属については、rDNA ITS領域、β-tubulin, EF1α, glyceraldehydes-3phosphatede hydrogenase, Heat shock protain領域より、欧米産・日本産種の関係を明らかにした。Heterobasidion属における日本産種の系統的位置付けを明らかにした。同じく重要な木材腐朽菌であり食用菌でもあるLaetiporus属については、核rDNA ITS領域、EF1αおよびβ-tubulin領域の部分配列より日本産の種の関係を明らかにした。日本産種については今後分類学的に再検討が必要であることが示された。Heterobasidion属、Laetiporus属のいずれも、日本産の種は北アメリカよりもヨーロッパ産種と近縁であることが示唆された。
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