2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770077
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
瀧下 清貴 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, 研究員 (90392951)
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Keywords | 原生生物 / 真核生物 / 多様性 / 深海 / 化学合成生態系 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
鹿児島湾はカルデラによって形成された半閉鎖的な海域であり、水深100m以下では無酸素状態になりやすい。また水深200mの海底では二酸化炭素、メタンおよび硫化水素を含む火山性ガスが活発に噴出し、メガベントスが全く生息しない特殊な環境が存在する。この無酸素環境底泥中より直接DNAを抽出し、PCR法を用いて真核生物のSSU rDNAを取得した。その塩基配列情報を用いて分子系統解析を行った結果、これまでに知られていない高次レベルで新奇な真核生物(原生生物)が存在する可能性が示唆された。また、水生生物の寄生者として代表的な種(イクチオスポラやファイトミクサ等)が数多く存在することも明らかにされた。以上のことから、この特殊な環境における真核生物の種組成は、これまでに報告されている、どの海洋環境のものとも異なることが示唆された。また、化学合成細菌を体内に有する特殊な二枚貝が数多く生息し、その生態系が比較的詳しく調べられている水深650mの沖縄黒島海丘メタンシープ(冷水湧出域)底泥中において同様の手法を用いて解析したところ、底泥表層付近に数種類の有孔虫類の存在が確認されたものの、真核性微生物としてはCryptococcus curvatusという担子菌酵母が圧倒的に優占しており、この環境での真核性微生物の多様性は極めて低いことが明らかにされた。さらに、その担子菌酵母のITS-rDNA領域の塩基配列を決定したところ、陸上から単離された種のものと完全に一致していた。このことから、Cryptococcus curvatusの地球上での普遍的な存在が示唆された。
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Research Products
(7 results)