Research Abstract |
本研究では,黄色ブドウ球菌由来の莢膜合成関連蛋白質群(CapF, CapG, CapE, CapL)のX線結晶構造解析を行うことを目指している.はじめに,大腸菌を用いて各蛋白質の大量発現系を構築した.いずれもC末端に6×His Tagとの融合蛋白質として発現させた.Ni-NTAクロマトグラフィーとゲルろ過により,目的蛋白質を高純度に精製することが出来た.得られた蛋白質を用いて結晶化スクリーニングを行ったところ,CapF, CapGでは初期結晶が得られた.結晶化条件の最適化の末,X線回折実験に用いることのできる大きな結晶が成長する条件を見出した.これらの蛋白質は,類似蛋白質の構造解析がなされておらず,分子置換法では構造解析できないため,セレノメチオニン置換体蛋白質の結晶を調製した.Native蛋白質と類似した条件で大きな結晶が得られ,X線回折実験の結果,Se-CapFの結晶は3.5Å程度,Se-CapGの結晶は5.0Å程度の分解能の回折像を与えた.解析可能な分解能まで結晶の質を向上させるために,6×His Tagを付随しない蛋白質を調製し,それらの結晶化を行ったところ,Se-CapFの2.9ÅのSADデータを収集することができた.Se-CapFの結晶は,空間群c222,格子定数,a = 66.13, b = 104.98, c = 131.52であった.CapGについては充分な分解能を与える結晶を得ることができておらず,最適な結晶化条件を検討する必要がある.
|