2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 岳夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (10345233)
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Keywords | 銅イオンポンプ / X線結晶構造解析 / ATP結合 / ATPase / イオンポンプ |
Research Abstract |
申請者は、重金属イオンポンプのATP結合様式を明らかにする目的で、銅イオンポンプATP結合領域のX線構造解析を行っている。 本年度は、銅イオンポンプATP結合領域を含む組み換え蛋白質の発現・精製・結晶化を行い、3.7ÅまでX線を回折する結晶が得られた。しかし、詳細な原子構造を解くには、より高分解能まで回折する結晶の調整が必要であり、試料の調整・結晶化の最適化を進めている。 組み換え蛋白質は、3種類の高度好熱菌由来銅イオンポンプのATP結合領域をプロモーターやHisタグの付加部位が異なる数種類のベクターに組み込み大腸菌で発現した。いくつかの高発現した菌体を破砕・熱処理した可溶性画分をNiキレート・ゲルろ過カラムで精製し、約95%の純度の標品が1L培養液あたり3〜10mg得られた。精製標品をATPの非加水分解アナログと混合して、ハンプトン社の結晶化キットを用いたところ、Archaeoglobus fulgidus由来のもので初期の結晶が現れた。結晶化条件を改良し、現在3.7ÅまでX線を回折する結晶が得られ、空間群はP6_2,P6_4,P6_222かP6_422のいずれかに属し、格子はa=b=147.0Å c=187.6Å γ=120°と算出された。 海外のグループがATPを結合していない状態の銅イオンポンプATP結合領域のX線構造を2.3Å分解能で2006年1月に発表した。注目すべき点は、彼らの組み換え体は申請者のものに比べN末端側が19残基ほど短い事だ。この部分は一本のαヘリックスとして突き出ていると予想され、それが結晶のパヅキングに悪影響を与えたのであろう。そこで、数残基刻みにN末端側を短くした組み換え体も作製し、ATP結合型の結晶化を進め.ている。海外のグループはATP結合体が得られなかったと報告しているが、今まで以上に本研究課題の達成を急ぐ必要がある。
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