2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造安定化変異を導入した組換えG蛋白質共役型受容体(PAR-4)の大量発現
Project/Area Number |
17770090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
禾 晃和 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (40379102)
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Keywords | 膜蛋白質 / 構造生物学 / G蛋白質共役型受容体 / 結晶化 |
Research Abstract |
本研究では、X線結晶解析によるトロンビン受容体PAR-4の立体構造決定を最終目的とし、良質の結晶を得るべく、構造を安定化する変異を導入した組換え蛋白質のデザインと、動物細胞を用いた大量発現を行なっている。 構造安定化変異の導入については、1)糖鎖修飾配列の改変による糖鎖の除去、2)末端領域の欠失変異、3)ジスルフィド結合を形成しない、フリーなシステイン残基の置換、などを行い、それぞれの変異体の性質を調べた。その結果、糖鎖やカルボキシ末端の領域を除去しても、活性が保持された変異体PAR-4が発現することが明らかになり、結晶化に適した"よりコンパクトな"コンストラクトを作成できる可能性が示された。一方、システイン残基については受容体活性化に関与しているためか、システイン残基をアラニン残基などに置換すると活性が失われてしまった。 また、大量発現系の構築については、まず構成的発現の系を用いたが、一過性では高発現が見られるものの、安定発現株にしようとすると細胞が死滅してしまうという問題が見られた。これは、PAR-4が宿主細胞にとって有毒であるためと考えられ、PAR-4を高発現する細胞ほど成育状態が悪くなり、死滅していくためと考えられる。発現蛋白質の毒性が問題となる場合の有効な解決策としては、誘導発現の系を用いることが挙げられる。そこで、テトラサイクリンの添加によって発現制御を行なうT-RExシステム(Invitrogen社)を用いて条件検討を行なった。その結果、細胞の成育状態は著しく改善され、PAR-4を高発現する安定発現株を得ることに成功した。今後は、より高密度で細胞培養を行なうことを目的として、浮遊状態での培養条件の検討を行なうことを計画している。
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