2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムの安定性を維持するDNA修復酵素,FEN1-PCNA複合体の構造研究
Project/Area Number |
17770092
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
北野 健 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (40346309)
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Keywords | タンパク質 / X線結晶構造解析 / flap enconuclease-1 / PCNA / ペルオキシレドキシン |
Research Abstract |
FEN1 (flap endonuclease-1)は,二本鎖DNAから突出した一本鎖flap DNAを切断する構造特異的エンドヌクレアーゼであり,DNA複製の際に残るRNAプライマーや,塩基除去修復で損傷塩基を含む一本鎖DNAを除去する,ゲノムの複製と維持に重要なタンパク質である。FEN1は,二本鎖DNAを挟み込む分子クランプとして知られているPCNA(増殖細胞核抗原)と相互作用することにより,酵素活性が数十倍に促進される。本研究は,結晶構造解析によって,FEN1の反応メカニズムを立体構造から解明することを目的としている。 大腸菌による大量発現法を用いて,ヒト由来のFEN1と,PCNAの精製をおこない,実験に用いるためのタンパク質試料を調整した。これらのタンパク質試料を用いて予備的な結晶化実験をおこなったところ,原子レベルでの結晶構造解析を進めていくに当たって,より良い結晶を作成するために有効な指針を得ることができた。 また,生物にとって有害な過酸化物を強力に分解する酵素,ペルオキシレドキシン(AhpC)のX線結晶構造解析の研究をおこない,分子置換法による位相決定法を利用して,細菌Amphibacillus xylanus由来のペルオキシレドキシンの立体構造を,分解能2.9Åで決定することに成功した。この結果,本酵素がドーナッツ型のホモ10量体構造をとっており,システインを含む活性中心を溶媒に露出させていることが分かった。
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